こんにちは。俣野成敏です。
会社では出世や左遷など様々な出来事があり、中には理不尽と思えるような事態も起きます。
そのようなときは、どう考え判断すべきなのでしょうか?以下の質問をご覧ください。
「私は、ある住宅リフォーム会社に勤めています。先日、会社主催の集まりがあった際に、数年ぶりに以前の直属の上司だった人に会いました。
その方は以前、セクハラが原因で子会社に移籍したと噂されていました。しかし話を聞いてみると、実は役員に嫌われてセクハラという形で失脚し、今は閑職に追いやられているとのことでした。
また、数日前には別の人から突然、『今月末で退社することになりました』というメールをいただきました。定年間際という年齢で、もともと郷里に近い支店への異動が決まっていたのにです。
俣野さんは社内のこのような不条理をどう思われますか?」
質問ありがとうございます。 残念ながら、サラリーマンの人事は好き嫌いが9割です。「社外で敵と戦っていたのに、後ろから味方に刺されてしまう」という人を、僕も何度も目にしてきました。
だからといって、積極的に自らそれに関わっていくことを、潔しとしない人も多いのではないでしょうか。
僕は社内政治に関しては、「二段ロケット」の考え方で対応していました。
最初はロケットのように高みを目指して飛び立つために、あえて周りに合わせないという段階。ここでは、その他大勢から抜け出すために、尖る勇気が必要です。
つまり、周りに嫌われる覚悟を持って、与えられた仕事で思いっきり実績を出すことです。 その際のマインドは、
・与えられた仕事なんてできて当たり前
・周りと一緒につるまない
というようなことを念頭に置く第1ステージです。
自分の個性を見つけて実績と縄張りができあがった時点で、次は周りに敵をつくらないことを工夫する第2ステージに入ります。
先ほどのステージとは真逆の対応となりますので、ロケットがブースターを切り離すように、頭の切り替えが必要です。
ここで必要なのは、自分の正義を押し付けないこと。
・誰かの恨みを買わない
・間違いを露骨に指摘しない
というような配慮が必要です。
要は、先ほどの質問にあった「飛ばされた上司」というのは、嫌われた担当役員のライバルになってしまったということです。
第1ステージにいるときは、周りから浮き立つほどの成果を出しても、上司や役員は「元気があるかわいいヤツ」と大目に見てくれます。
部下が結果を出せば自分の評価も上がりますから、むしろ応援してくれるでしょう。
ところがある程度の実績を上げ、地位を駆け上がって行くと、今度はかつての「かわいいヤツ」が上司のライバルに変わります。
この段階でも第1ステージと同じやり方で突き進んでしまうと、上司にとっては脅威です。
そうなると組織全体の発展よりも、向こうはやっとの思いでつかんだ自分の椅子の方を守ろうとします。
ダイエーの創業者として、神戸の薬屋から小売業日本一へと会社を導いた、あの中内功氏でさえ後継者に嫉妬して、最後は判断を誤りました。しかもそれは、自分の息子だったにも関わらずです。
偉大な業績を残した人でさえこうなのですから、僕たちのような一般人であれば、なおさらです。
残念ながら、自分が上司の人事に口出しできない以上、そうした理不尽に腹を立てても始まりません。
誰が正しくて誰が正しくないかなど、立場が違えば見方が変わります。
地位の上下はあるにせよ、相手も結局はサラリーマンであり、同じ悲哀的立場であることに変わりはないのです。
サラリーマンとして頂点を極めた人でも、不遇の時代を味わった経験はあるもの。
それを途中経過でいじけてしまうのは、自ら出世の階段を降りるに等しい行為です。
「世に出る」と書いて「出世」と言います。
その意味を、どうか今一度みなさんも考えてみてください。
ありがとうございました。
★上司をより良く活かすには
『わりきりマネジメント』(扶桑社)
詳しくはこちら