こんにちは。俣野成敏です。


お茶の間の経済評論家でお馴染みの池上彰さんが、かつて日本の現状について、テレビ番組でこう話していました。

「他国の借金は増えたり減ったりしているのに、日本はひたすら右肩上がりで増えている。この状態が続くと、国債の買い手がいなくなるため、これ以上の借金が難しくなる。」

国債とは、国が資金を調達するために発行した証書。つまり借金です。

池上さんの言う「この状態が続くと、国債の買い手がいなくなる」とは、一体いつのことなのでしょうか?


現在、日本銀行が日本の国債残高を年間50兆円ペースで積み増している状況の下、日銀の占める割合は急速に高まっています。

2015年には25%を超え、このままのペースで行くと、2020年末には日銀の保有シェアが発行総額の50%に達すると試算する専門家もいます。

こうした日銀のシェア拡大に伴い、中長期的に国債の信認が崩れる可能性は、年々高まりつつあります。

それは日銀によるシェアが3割に迫り、生保業界の国債需要が一段落する、来年あたりから顕在化する可能があるとの意見もあります。


日本の今の構造が、見えてきましたでしょうか?

本来は、国債を発行するのは国の法律で禁止されています。

それを可能にしたのは、1975年に1年限りの特例公債法という、国債を発行するための特例法が制定されたことでした。

以後、一時的に断続したことはありましたが、1994年以降は毎年制定され続け、2012年度法案は3年間、国債発行を認める内容となっています。


現在、日本の国債は9割以上の貸し手が日本国内です。そのうち、日本の金融機関が約7割を所有しています。そしてその国債を買う資金となっているのが、我々の預貯金。

つまり実際のところ、我々が間接的に国債を買っているようなものなのです。


このまま行くと、どのような結末になるのでしょうか?

金融危機の続いているギリシャで取り付け騒ぎが起こり、6月に一時的に預金の引き出し制限が掛けられたことは、記憶に新しいと思います。

「まさか日本に限って」と思いますか?



実は、この日本でもかつて同じような事態が起こっていたという事実を、ご存知でしょうか。

銀行預金などの金融資産の引き出しが制限されることを、「預金封鎖」と言います。

それが日本で実行されたのは、戦後間もない昭和21年(1946年)のことでした。

預金封鎖の目的は、簡単に言えば「借金帳消し」です。

この場合は強制的に借金を放棄させると同時に、ロックして引き出せなくした預金に財産税をかけ、それを債務返済のための財源に充てました。

課税対象は預金以外にも動産、不動産、現金等にも及び、その税率は最高90%にも上ったといいます。


当時の借金の原因は、主に戦争中の軍事関連への支出です。

すでに昭和17年(1942年)に対外債務への返済は止まっていましたが、対内的にも債務調整(国内デフォルト)が行われたのです。

当時は戦後直後であり、GHQの占領下にあったとはいえ、それが日本で起こったことには変わりがないのです。


通常、たとえ小さなことであっても、新しいことを始めるというのは、ハードルが高いものです。しかし、前例があることに対してのハードルは、格段に低くなります。

つまり、預金封鎖が再び行われる可能性は十分あり、そのための障壁は意外に低いわけです。


預金封鎖が行われる2年前の昭和19年(1944年)の時点で、すでに債務残高は対国民所得比の267%近くにも達していたと言われています。

それから69年後の現在、政府の債務残高は対名目GDP比で250%にも達しているのです。


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