こんにちは。俣野成敏です。
私たちの生活は国債、つまり借金によって支えられていることを、あなたはご存知ですか?
国債とは、「国庫債券」の略で、国が発行している債券(借用証書)のことです。つまり国はこの債券を売ってお金を借り、それで社会福祉や公共サービスを我々に提供しているわけです。
国債を買っているのは、7割近くが日本の金融機関であり、その元手となっているのは、我々が銀行に預けている預金です。
IMF(国際通貨基金)は、日本国債が金融機関に集中していく状況は金融システムの安定にとって非常に危険であるとして、警鐘を鳴らしています。
もし、日本国債の価格が下落すれば、日本の金融機関が軒並み損失を抱えてしまいます。そうなった場合、金融不安につながりかねないと、IMFは指摘しています。
ところで、アベノミクスが「3本の矢」として提示している経済政策の3本柱は、「金融政策」「財政政策」「成長戦略」ですが、これらはいずれもデフレ脱却を目指して打ち出されている政策です。
デフレとは、経済において通貨の価値が高く、物価が下がっていく状態のことです。
デフレの反対はインフレ。
政府がインフレ誘導をするのは、通貨の価値を下げて物価を高くし、お金が出回ることによって経済を活性化させ、会社の収益につながり、我々の給料も上がるから、というわけです。
そのために2年前から導入されているのが量的・質的金融緩和政策です。
日本銀行は現在、通貨・日本円を大量に市場に供給しています。そのために取られている手段の一つが国債購入です。
今、日銀は市場を通じて銀行などの金融機関から国債を買い入れています。日銀が国債を大量に買い入れているのは、市中に通貨(マネーストック)を増やしたいからです。
国が量的・質的金融緩和を続ける限り、日銀は市中に通貨を増やしたいので、満期が来た国債の元本返済を政府に求めることは、得策ではありません。政府が返済するために資金調達を行えば、その分、市中の通貨が減ってしまうからです。
そのため、期限の到来した国債は別の国債(割引短期国債等)に借換を行ったりといった対策が取られています。
つまり、満期になっても借金を返さずに、繰り越しているわけです。
しかし、国債が借金である以上、必ず返済しなければいけない時期がきます。
それがいつかと言えば、デフレを脱却した時です。
デフレを脱却し、質的・量的金融緩和政策が終了すれば、国債の返済を迫られます。
そうなれば、国は税金によって返却せざるを得ません。
今のところ、質的・量的金融緩和策の有効性ははっきりしていません。消費者物価指数は2014年に一時的に上向きましたが、現在はまた、下落傾向にあります。
インフレ誘導とは、諸刃の剣です。一歩間違えればコントロールが効かなくなり、ハイパーインフレなどの恐れがあります。
なぜ、政府は危険を承知でインフレ誘導を行おうとしているのでしょうか?
インフレというのは、お金の価値が下がることです。
つまりそれは、借金の価値も減るということ。プラスの資産もマイナスの資産も両方減るのです。
インフレになれば、借金も減る。通貨の価値が下がってみんながお金を手放し、より金利の高いものに投資しようとすれば、一時的に株価を上げて景気を良く見せることができる。
これが彼らの、本当の目的なのです。
先日、2016年度の国の一般会計予算の概算要求が各省庁より行われました。それによると、予算総額は102兆円を超え、そのうち、社会保障費が膨らんだ厚労省の要求金額は30兆6,675億円、国債費が26兆543億円の要求額となり、いずれも過去最大になるとのことです。
2015年度末には、国債発行残高は初めて、800兆円台に乗る見通しとなっています。
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