こんにちは。俣野成敏です。

マッキンゼーの経営コンサルタントだった大前研一氏は、かつて通勤時間を利用して、電車のつり革広告を題材に「この会社の売上を伸ばすとしたら、どうするか?」を考え、日夜トレーニングしていたということです。

僕も日頃から思考のトレーニングを遊び感覚でやっています。それは例えば、旅行先のたまたま入ったレストランで(このお店をもっと繁盛させるにはどうしたらいいか?)といったように、です。

同じく、僕の大切な友人に「もっと活躍してもらうにはどうしたらいいのか?」というようなことにも日々、想いを巡らせています。

僕はこれを「勝手にコンサルタント」と名付けています。


さて。
2013年1月からオンエアされ、話題になったCMがありました。それはキリンビールの「のどごし 夢のキャンペーン」と銘打ったもの。「一般人が自分の夢を叶える」様子をドキュメンタリー風に追ったもので、今だに覚えている方もいるでしょう。

そのCMは、例えば一会社員がかつての夢だったプロレスラーになって長州力と対峙するものや、かつて組んでいたバンドを再結成してステージに立つ女性の話しなど、何本かシリーズ化もされました。

それを見た僕は、またここで「自分だったらどういう夢を実現させたいか?」と、あーでもないこーでもないと考えに耽っていたものです。


ちょうどその頃、僕は福岡で伊藤喜之さんとトークイベントを開催しました。伊藤さんは16万部のベストセラー『バカでも年収1000万円(ダイヤモンド社)』の著者で、僕の親友です。

彼は「金なし、コネなし、学歴なし」のダメダメサラリーマンから一気発奮し、バカでも成功できる独自の「バカリーマン・メソッド」を開発・実践した結果、広告戦略コンサルタントとして華麗な転身を遂げ、

更に現在ではパリに拠点を移し、地元メディアでも引っ張りだこの、稀代の新鋭アーティストとして活躍しているという、異色の存在です。



トークライブ後の懇親会には、同じく僕の友人で、当時ソフトバンクのマーケティング担当だった人とも合流し、話しは大いに盛り上がりました。

その人は福岡ヤフオクドームの担当もしていて、雑談の中で「始球式の権利も売っているんですよ」と何気なく口にされました。

その言葉を聞いた瞬間、僕の脳裏にふと「夢のキャンペーン」さながらに、始球式でマウンドに立つ伊藤さんの姿が浮かびました。

多くの男性にとって野球選手とは、一度は憧れた夢の存在。伊藤さん自身もスポーツ万能で、しかも派手なことをするのが好きな性分です。

当然、伊藤さんに対してもかねてから「勝手にコンサルタント」をしていた僕にしてみれば、始球式と伊藤さんの掛け合わせは、まさに絶妙なコンビネーションだと感じられたのです。


僕はすかさず伊藤さんに「やっちゃいなよ、始球式。」と持ちかけました。

伊藤さんは「え?自分が?!」という表情を浮かべましたが、担当の方から説明を聴いているうちにその気になり、その場で翌日の球場視察のアポを入れました。


このイベントは、すでにあったサービス(夢のドリームキャンペーン)を伊藤さんに当てはめ、応用したものです。

このように、世の中にすでに存在している成功事例を他の分野で応用することを、僕は「大人のカンニング」と呼んでいます。

アイデアとは、誰も思いつかないような奇想天外なものではなく、すでにあるものを工夫し、それに新たな息吹を吹き込んだもののことなのです。


トークイベントの翌日、球場視察をした伊藤さんは、その日のうちにスポンサー権を買うことを決めました。

僕が企画したこのイベントのテーマは「男の夢実現!サラリーマンフェスティバルin福岡」

果たして、上手くいったのでしょうか?


ありがとうございました。



◆本日のお話をより深くお知りになりたい方は

『一流の人は上手にパクる~仕事のアイデアがわいてくる大人のカンニング』(祥伝社)

詳しくは、この文章をクリックしてご覧ください。