こんにちは。俣野成敏です。


「未来は、どうなるのか?」

未来とは、まだ決定していないこと。良い方にも悪い方にも転がる可能性があります。だから我々は「未来」と聞くと、心が揺れ動くのでしょう。

まだ見ぬ未来のことは誰にもわかりませんが、「今、ある現象からある程度の予測を立てる」ことは可能です。



2013年3月。キプロス共和国という、東地中海上にある小国で金融危機が起こりました。

2009年秋に政権交代がキッカケで起こったギリシャ危機。キプロスもその影響を受け、多額の不良債権を抱えていました。

キプロスはEUとIMF(国際通貨基金)に助けを求めました。EUとIMFは、キプロスへの財政支援と引き換えに、すべての銀行預金への課税を決め、政府はそれをもとに預金の引き出しを制限する預金封鎖を実施しました。

国民の銀行預金が差し押さえられるという事態に陥ったのです。



この時、人々が自分の預金を守るために、大量に両替した通貨がありました。

ビットコイン、つまり仮想通貨です。


「仮想通貨って何?」

「仮想通貨って危険なんじゃないの?」



「仮想通貨」とは、電子データを暗号化し、通貨として決済に使用する「暗号通貨」です。

サトシ・ナカモト氏の論文をきっかけに、2009年1月に最初のシステムが動き始めました。その価値を保つために発行枚数は約2,100万枚と決められています。

仮想通貨は金融機関などの第三者を通さないため、特定のサーバーでの管理はしておらず、

利用者がパソコンにインストールする「ウォレット(財布)」と呼ばれるソフトが、P2P(ピア・トゥ・ピア)というパソコン同士が横につながったネットワークを形成します。

すべての取引はセキュリティと匿名性を備えたネットワーク上で取引データの塊ごとに公開されており、事後にトレース(写し)できるため、不正が難しいシステムとなっています。



注目すべきなのは、キプロスの法定通貨がユーロだったことです。

なぜ、キプロスの住民たちはユーロを仮想通貨に替えたのでしょうか?

多くの通貨は、価値の裏付けがありません。法定通貨とは支払の際の受け取りに法律上の強制力を持っている(受け取りを拒否できない)通貨のことですが、その後ろ盾となっている国や政府への信用が崩れた時、結局、通貨は紙くずへと変わります。



通貨は決済手段であると共に、価値を保蔵する役目も担っています。人々は自分の財産が紙くずになるのを守ろうと、より安全なものと交換しようとしました。

なぜ、キプロスの人々は危ないイメージのある仮想通貨に替えたのでしょうか?

それは、仮想通貨が国家の管理の外にある通貨だからです。



確かに、生まれて間もない仮想通貨には、不安定な一面があります。

仮想通貨は紛失した場合、再発行はできません。パスワードを忘れた場合も同様です。自己管理が求められます。

仮想通貨自体は偽造が難しい構造になっていますが、仮想通貨のシステムの強固さと、通貨の両替を請負う取引所の管理体制は別物です。

どこで管理し、どのように運用するかは利用者が決めることなのです。



今、借金が1,300兆円あるとも言われる今の日本で、日本円の資産を持ち続けることの危険性を、あなたは考えたことがありますか?

キプロスで起こったことが、私たちの身の上に起こらないという保証はどこにもないのです。



リスク回避の一つの手段として、「未来世界を予測し、人より先に手を打っておく」というものがあります。

この機会に、どんな未来が我々を待ち受けているのかを考えてみませんか?



ありがとうございました。


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