人は精神的、心理的に働くことが必要だから働くだけではない。人は何かを、しかもかなり多くの何かを成し遂げたがる。自ら得意なことにおいて、何かを成し遂げたがる。能力が働く意欲の基礎となる。
――『現代の経営』P.F.ドラッカー著
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サラリーマンが能力を見つけるための3ステップ
人が働く意欲の基礎「能力」とは?
この言葉で注目すべきは「能力が働く意欲の基礎となる」という部分に記された「能力」の2文字だと考えます。
「必要だから働く」という段階から、「何かを成し遂げたがる」という段階になれば、働く意欲は自ずと湧き出てくるというわけです。そのため、他人から強制されるわけではなく、自発的に何事かを達成しようとする人は、能力に目覚めなくてはなりません。
人には「成長したい」という潜在的な本能が備わっています。ドラッカー氏は、その人の持つ
「能力」が人の本能を突き動かし、人を動かす原動力となっていることに着目したのではないでしょうか。
車に例えれば、「能力」はアクセルにあたります。アクセルを踏み込めば、車は走ります。しかし、アクセルペダルの位置が分からなければ、車は動きません。動かすためには、誰かが車を後ろから押さなければならないでしょう。
人も同じです。働く意欲の基礎となる「能力」の在り処が分からなければ、その人はただ与えられた仕事をこなすだけになってしまうでしょう。要求された仕事にただ応じるだけでは、人は何かを「成し遂げた」達成感は得られません。自分の「能力」というアクセルの位置を知り、踏み込むことで働く意欲を高める必要があるのです。
サラリーマンが「能力」を見つけるには?
サラリーマンが「能力」を見つけようとすれば、それは仕事の中にしか見つかりません。
仕事は、
【 オーダー(指示)→リプライ(回答)→リアクション(反応)】
という3段階で完結します。
オーダーを受けて、リプライする。「これをやって欲しい」と指示を受け、その指示に応える。多くの人がリプライまでの2ステップを「仕事」だと思っています。
しかし、あなたがリプライという行為を通じて得られる相手からの「リアクション」を受け止めてようやく、仕事は完結するのです。
「成長」という観点から仕事を捉えた場合には、リプライするだけでは一向に成長は望めません。他者からのリアクションを受けて「次はもっとこうしよう」と仕事の質を上げていくことが、成長に繋がるのです。
と同時に、常にリアクションを受け止めていくうちに、自分の得意分野が見えてくるはずです。
つまり、
自分のリプライと
相手のリアクションを
天秤にかけることがミソです。
あまり労力をかけていないのに思った以上に好感触のリアクションが得られる何かが見つかれば、そこを磨いていくことであなたの「強み」となります。受け手が評価を決める上に自分では気づき難いお宝の原石を見つけるには、結局これが一番の近道です。
「能力」はいわば「強み」の前段階。「強み」になる前の、あなたの中に眠っている才能です。「能力」は、特別な人にだけ備わっているわけではありません。誰もが持っているものです。
自分の「能力」がどこにあるのか分からないというあなたは、仕事を「リプライ」の段階で終わりにしてきたのでしょう。
これからはあなたがリプライした仕事への
「リアクション」を受け止め、仕事の質を高めていくこと。
思った以上の高評価を受けることができれば自信がつきますから、次はさらに高評価を得るために努力するでしょう。そしてまた、良いリアクションが得られればさらに上を目指します。
その繰り返しで、あなたの「能力」は確たる「強み」に転化していきます。
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