前回、日本の物価上昇は「健全なインフレ」ではなく、スタグフレーションに近い状態だとお伝えしました。
物価は上がるが、賃金や資産は十分に増えない。この環境で最も危険なのは、「様子を見る」という選択です。
インフレ局面では、時間は味方をしてくれません。
なぜなら、現金の価値は何もしなくても減り続けるからです。
物価が年2.5%上昇する世界では、10年後の100万円の価値は、体感的に約80万円程度まで下がります。
銀行口座に置いたままの資金は、安全どころか、確実に購買力を失っていくのです。
ここで誤解されがちなのが、「投資=リスクが高い」という思い込みです。
しかし、今の環境では逆です。
最大のリスクは、インフレに無防備な状態で資産を固定しておくことにあります。
重要なのは、「大きく増やす」ことではありません。
まず考えるべきは、物価上昇に負けない構造を持っているかです。
世界の富裕層や年金基金が行っているのは、派手な売買ではなく、
インフレに連動しやすい資産を、長期で保有するという極めて地味な戦略です。
それは、「未来の購買力を守る」ための行動とも言えます。
一方、日本では長くデフレが続いたため、
「現金で持っていれば安全」「動かさなければ損はしない」という感覚が根強く残っています。
しかし、その前提はすでに崩れています。
物価が上がる世界では、
動かさないこと=減らすこと
この認識を持てるかどうかが、5年後、10年後の差になります。
ここで一つ、次は20年スパンで数字で考えてみましょう。
仮に物価が年2.5%ずつ上昇すると、20年後には同じ100万円で買えるものは、実質的に約60万円分まで減ります。
つまり、銀行に置いてあるだけで、何も失っていないように見える資金は、静かに40%近く目減りしているということです。
これは「失敗」ではありません。
しかし同時に、「何もしなかった結果」であることも事実です。
インフレ時代においては、リスクとは“動いた時に起きるもの”ではなく、“動かなかった時に確定するもの”なのです。
ここで大切なのは、いきなり正解を求めないことです。
完璧な商品やタイミングを探している間にも、インフレは進みます。
必要なのは、
・インフレに対抗できる資産を知る
・小さくでも実行する
・時間を味方につける
この3つだけです。
資産形成とは、才能や度胸の勝負ではありません。
環境の変化を正しく理解し、行動を少しだけ前に進められるかの差です。
日本はすでに、
「考えなくても大丈夫な国」ではなくなりました。
今は、守るために動く時代です。
その一歩を踏み出せるかどうかが、これからの人生の自由度を静かに決めていきます。
