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皆さん、グーテンターク(こんにちは)!

 

 

前回は日本語の「省略」やドイツ語と英語における文法

(不定冠詞など)に触れましたが、

今回はドイツ語だけに焦点を当て、

文法上の「性別」について考えてみたいと思います。

 

前回は「Hast du ein Handy」、「Do you have a phone」

(携帯電話ありますか?)という例文を紹介しました。

英語の不定冠詞は「a」で、「h」または「母音」で始まる名詞の前に来ると

「an」と濁します。「go for a walk」、「to walk for an hour」「to eat an apple」という違いですね。

 

定冠詞の「the」も同じように「h」または「母音」の前に来ると

「ザ」じゃなくて、「ジ」と発音します:「I have the honor of introducing …」。

日本人なら中学校で学びますよね。

 

鳴門市大麻比古神社への道

 

では、ドイツ語はどうでしょうか?

「Hast du ein Handy」の「ein」は不定冠詞にあたります。

ここでもう一つの例文を挙げましょう。

「Hast du eine Uhr?」(時計はありますか?)。

前の例文と比べると、対象語(名詞)だけが変わったことに気づきます。

すなわち、「Handy(携帯電話)」じゃなくて「Uhr(時計)」の有無を問います。

他の言葉が同じですが、定冠詞の「ein」の形も少し変わりましたよね。

「ein」の後ろに「e」が付きました。入力ミスでもなくて、文法でそう決まっています。

 

「ein」は「eine」にならなければならない理由は、「Handy」と「Uhr」という名詞の「」にあります。

「動物じゃないので別に性なんかないのでは?」

と不思議に思う方もいらっしゃると思いますが、

ごもっともとしか言えません。

 

 

これは生物学における「性」ではなく、文法における「性」です。

ドイツ語には三つの「性」があります。

つまり、男性名詞中性名詞女性名詞です。

 

先ほど挙げました「Handy」は中性名詞で、「Uhr」は女性名詞です。

英語の定冠詞の「the」の代わり、ドイツ語には名詞の性で決まる定冠詞が三つあります。

der (男性), das (中性), die (女性)。

従って「das Handy」と「die Uhr」になります。

不定冠詞の「ein」は男性名詞中性名詞につくと「ein」ですが、

女性名詞なら「eine」と変わります。

 

フランス語やイタリア語などにも文法上の「性」がありますが

(だいたい男性と女性のみ)、

同じ名詞であっても、言語によって「性」が違う場合もあります。

「例: 太陽」:「独:die Sonne(女性名詞)」「仏:le soleil(男性名詞)」「伊:il sole(男性名詞)」。

 

ちなみに、英語などと違って、ドイツ語では固有名詞だけじゃなくて、

名詞のすべての頭文字大文字となります。

動詞の名詞化も同じです:「gehen / das Gehen (歩く / 歩き)」。

 

ドイツ館付近のきれいなお花。何というでしょう?

 

さて、そもそもどうして「1,2,3」などではなく、「性」で区別するのでしょうか?

対照的ですから。

中国思想、特に儒学に見られる「陰陽」という考え方にも当てはまりますね。

「陽」は男性で「陰」は女性です。

人間を含めて、ほとんどの性ある動物では「男性」と「女性」、

または「雌雄」という違いによって様々な重要な情報を得られます。

体の大きさ、牙の鋭さ、羽の模様、様々な相違がパターンとして確認できます。

動物も人間も、同じ種類でありながら、共通点が非常に多いからこそ、違うところが目立ちますよね。

 

同じ鳥の種類であっても、オスの羽の模様がメスより違ったりして、

蜘蛛の一種のメスが同じ種のオスより体が大きい。

人間の女性も男性も心臓や肺などを使って息をし、足を使って歩き、手を使って物を掴む。

四肢もあり、毛も生え、ほとんど同じです。

ただし、少なくある違いの、例えば骨の構造、

筋肉と脂肪の割合や性器の形などといったところでは違います。

そのパターンを把握して、人間の女性と男性をほぼ完璧に区別することができます。

 

こういう意味での「性」です。同じ種類、すなわち、名詞であっても環境によって働きが違います

 

名詞が支配している不定冠詞や定冠詞などが名詞の性によって異なります。

個人的な意見にすぎませんが、こういった

「ほとんど同じものなのに、重要なところで違う」という考え方から、

名詞に「性」というカテゴリーがつけられたのではないかと思います。

 

 

さて、必ずしも生物学の「性」と一致しない文法上の「性」ですが、

どうやって区別するのかと不思議に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、

様々な原則や傾向が見られます。

 

「-e」で終わる名詞に女性名詞が多く含まれている、

「-ung」やラテン語から由来している「-ion」で終わる名詞も女性名詞です。

「小型の」という意味を表す接尾辞の「-chen」や

動詞の名詞化「読む – lesen / 読み または 読むこと – das Lesen」は中性名詞。

 

このように接尾辞や終わる音で規則的なものもありますが、

すべての名詞がそうではありませんので、基本的には「語感」で決まります。

 

と、色々説明しても、現代ドイツ語の名詞の「性」を覚えるコツになるのかといいますと、ノーとしか言えません。(苦笑)

飛行機、メロン、ネズミ、和紙、串、月、炎、風。

これらの名詞の「性」を言ってくださいと言われても困りますよね。

 

でも、ドイツ人ならわかります。

Das Flugzeug, die Melone, die Maus, das Japanpapier, der Spieß, der Mond, die Flamme, der Wind.

これらを見ると、確かに、「-zeug」で終わる言葉は必ず中性名詞で、

「-e」で終わる女性名詞が多い、ということに気づきますが、

その少ない例外を除けば、後は覚えるしかないのです。

どうしてドイツ人が覚えられると聞きますと、答えは一つしかないですね。

「語感」ですから。(苦笑)

 

素晴らしいものでありながら、母語話者ではない方に「語感」ですから、

「そう決まっているから」としか言えないのも苦しいところですね。

仕方がないのですが。

 

ドイツ館前広場に咲いているチューリップ

 

「英語のように一つにすれば?ややこしいだけだろう」

と言われるかもしれないのですが、

いかに便利なのかを一つの例で説明しましょう。

 

文法上の「性」についてのウィキペディア記事での明白な例を引用させていただきます。

「der Deckel der Kiste, der/die grün gestrichen ist」

これはいわゆる関係文です。

「der Deckel」は「蓋」という男性名詞です。

der Kiste」は「箱」という女性名詞です。

定冠詞は「der」なので、どうして男性名詞じゃなくて女性名詞かというと、

この場合の「der Kiste」の「der」は、実は定冠詞の「die」なんです。

このセンテンスの女性名詞を指す「die」は二格の関係にありますので、

「der」という形になります(わかりづらいかと思いますが・・・)。

 

二格は所有格・属格であり、日本語では品詞の「の」で表します。

要するに、「der Deckel der Kiste」を訳せばこのようになります:

「箱蓋」。「箱蓋」でも、「箱蓋」でもなく、

「箱蓋」です。

 

本来の定冠詞にしたら、ただただ一つ一つを挙げるようになります

「der Deckel, die Kiste」、つまり、「蓋、箱」となります。

要するに、定冠詞の(格による)変化で二つの言葉の関係が

成り立ちます。

 

満開のベートーヴェン像

 

さて、これからは本番です。

 

コンマで分けて、関係節が始まります。

ここで「der grün gestrichen ist」と「die grün gestrichen ist」という二つの選択肢があります。

この「grün gestrichen ist」は「緑色に塗られている」という意味です。

その前に来る「der」か「die」は代名詞です。

der」ならの代名詞になるので、が緑色に塗っているが、

die」だったらの代名詞になりますので、のほうが緑色に塗っている。

 

日本語では「緑の箱の蓋」や「箱の緑の蓋」という言い方が出来て、

もちろん、ドイツ語でも形容詞を使って

「der grüne Deckel」(緑色の蓋)や「die grüne Kiste」(緑色の箱)という言い方はできます。

 

ただし、発音によって日本語の「緑の箱の蓋」というセンテンスも

あいまいさが残っていますよね。

「緑の、箱の蓋を開ける」だったら、緑色であるのが「蓋」ですかね。

この日本語の働きは、

川端康成の名言の「美しい日本の私」でもよくわかりますよね。

美しいのが日本か、私か、「美しい」という言葉だけではわかりませんよね。

 

この日本語の、ある意味の曖昧さと違って、

ドイツ語では関係節の代名詞がどんな名詞と繫がっているのかが必ずわかります。

とはいえ、同じ男性名詞でしたら、文脈や内容でしか判断できませんが。

 

と長文になってしまいましたが、母語話者ではない方にのって非常に覚えにくくて、

しかし大事な役割を果たしているドイツ語名詞の「性」について考えてみました。

 

前回は日本語の「は」と「が」についても述べると言いましたが、

それについては次回に触れます。

 

これからも

よろしくお願いします!

 

 

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