この素晴らしいエスコンフィールドにも、唯一の「弱点」と言えるものがあるとすれば、それは試合終了後のバスの列の長さだろう。北広島駅行きにせよ、新札幌駅行きにせよ、試合終了後すぐに並ぶのであれば、1時間以上待たされるのは覚悟しておいたほうがいいかもしれない。

 

だからと言って、北広島駅までの徒歩25分をおすすめできるかというと、それもまた悩ましいところ。あの駅は小さく、収容力に限界がある。数百人、あるいはそれ以上の人波が一気に押し寄せたらどうなるか。駅に入るまでにも長蛇の列ができてしまう。それもなかなか心身に堪える。

 

では、どうするか。

 

できるだけ快適に帰路につきたいなら、試合終了後、しばらくそのまま球場にとどまるのが一番だ。ナイターであれば、バスは23時過ぎまで運行している。時間をずらせば、ほとんど並ばずにバスに乗ることができる。ありがたいことに、いくつかのカフェやレストランは営業を続けている。

 

ファンたちは結構残って、球場内の居酒屋横丁で楽しそうにグラスを傾けている。仲間と飲むなら、試合が終わってからもまだまだ楽しい時間は続くだろう。

 

とはいえ、一人で過ごす時間も、なかなか悪くない。僕は試合が終わった後のがらんとしたスタンドに一人腰かけて、コーヒーを飲みつつグラウンドを眺めながら文章を書いたり、ボーカルデータをエディットしたりする。これがまた、はかどるのだ。仕事が落ち着いている時期は、読書をすることもある。まさに「カフェ・エスコンフィールド」だ。

 

 

勝った日は余韻にひたって。負けた日は……うん、良かったところを見つけよう。勝ったり負けたり、人生と同じだ。

 

 

さて、どうやら「4番・野村」の新庄マジックは大成功のようだ。この日も対空時間の長い見事なホームランを放った。

 

昨年、主力の中で彼だけがチームの勢いにうまく乗れなかった。秋のキャンプでも最後まで残ってロングティーを打つ姿が実に印象的だった。今季ここまですでに4試合で3本。クラッチなヒットも多いロケットスタート。これはもう「覚醒」と呼んでいいだろう。信じたい。

ブルペンの山本拓実、杉浦、池田の3人が、4イニングを無失点に抑えてくれた。今年も実に頼もしい。

 

とは言え、野球とは先発投手の出来が勝敗を左右するスポーツなんだと、あらためて実感する昨日の試合だった。

 

ファイターズのエース・伊藤大海、5回5失点。相手はにっくきホークス。またしても打たれた。ボカスカと。悔しいね。対するモイネロはというと、まったく隙のない投球だった。外野席から見ていても、その変化球のブレーキの効き具合には惚れ惚れする。7回を投げて、わずか2安打1失点。……勝負あり、だ。

 

 

昨夜はエスコンフィールドの開幕戦。試合前のセレモニーの壮大さには胸が高鳴った。けれど、それ以上に圧倒されたのは、伊藤大海の「遠投」だった。

 

ライトのポジションあたりでまずは軽くキャッチボールからはじめて、少しずつ距離を伸ばしながら、伊藤はレフトポールの下あたりまで歩いていった。ライトスタンドにいた僕の目から見ると、遥か向こうにいる。

 

まさか、あそこから投げるつもりじゃないよな……いや、投げたよ!
おいおいおーーーい!届くのかよ、それ!

 

彼のボールが美しい弧を描き、ライトポール際に届くたびに、スタンドから拍手が湧き上がった。

 

いくらエースでも、野球とはうまくいく日もあれば、そうじゃない日もある。年間数回あるうちの「負け試合」のひとつが、今日だったということ。

 

それにしてもホークスの柳田。バックスクリーンにホームランを打ち込むわ、守備では華麗なプレーを見せるわで、やっぱり魅力的な選手なんだよなあ。