僕が野球に出会ったのは昭和50年、小学校1年生の頃。西暦に直すと1978年だから、もう50年近くも見続けていることになる。そう考えるとなかなか恐ろしい。

 

当時は王貞治選手が現役で、世の中の誰もがジャイアンツファンだった(アンチジャイアンツも広義で言えばファンと言えるだろう)。僕もその例に漏れず、王選手に憧れてジャイアンツファンになった。ちょうど今の子供たちが大谷翔平選手に憧れてドジャースファンになるようなものだろう。スーパースターには、やはり心を奪われる。(もちろんすぐにジャイアンツファンは返上して、パ・リーグを追いかけるようになるのだが、それはまた別の話)

 

野球を見始めるのとほぼ同時に、スコアブックをつけるようになった。もともと何かを好きになると徹底的に調べる性格で、当時も野球の本をたくさん読んでいた。小学校3年生くらいには自然とスコアをつけられるようになった。

 

スコアをつけると、ますます野球が面白くなる。兵庫県に住んでいたので、幼い頃から甲子園で高校野球を観戦した。父に連れられて観戦した春夏の甲子園、時には阪神戦も観に行ったが、当時の甲子園は今よりずっと荒々しい雰囲気があって、子供ながらにドキドキしたのをよく覚えている。焼きそばの匂い、江本孟紀の2打席連続ホームラン、手書きのスコアボード。球場で野球を感じるのが、何より楽しかった。

 

スコアをつけずに野球を見るのは、スコアをつけずにボウリングをするようなもの。そんな感覚だ。最初は日本式のつけ方を学び、それを続けていたが、2001年に初めてアメリカで野球を観戦したとき、スコアのつけ方が大きく変わった。シアトルのセーフコ・フィールドでは入り口でボックス型のスコアシートを渡された。「お客さんもスコアをつけながら楽しんでくださいね」という文化が、アメリカにはあるのだと知って感動した。

 

けれども、シンプルな四角いマスにどうスコアを書き込めばいいのか分からず、最初は戸惑った。調べながら試行錯誤し、最終的に日本式とアメリカ式を組み合わせた「ナルセオリジナル」のスコアスタイルにたどり着いた。

 

iPadがペンを使えるようになった時、これは僕のためにある機能だと思った。手書きできて、デジタルで管理できる。文明最高。それ以来、試合観戦には必ずスコアブックがわりにiPadを持っていく。エスコンフィールドでも例外ではない。やはり、スコアをつけながら見る野球が一番しっくりくる。

 

 

昨日もエスコンフィールドへ。今年の観戦6戦目。ファイターズ対ジャイアンツのプレシーズンゲーム、いわゆるオープン戦。

 

ジャイアンツの先発は山崎伊織投手。彼は明石商業の出身で、この高校は僕が住んでいた街にある。ちなみに僕が通っていたのは明石高校。

 

高校野球の歴史を振り返ると、かつて明石高校は兵庫県の公立高校の名門として知られていた。特に有名なのは、中京高校との延長25回の死闘。ホークスにいた永井投手や、バファローズの柴田投手など、プロ選手も輩出しているんだ。一方の明石商業はここ10年くらいで強豪になった印象があり、僕としては「あの明商が野球で全国区になるなんて…!」といまだに信じられない気持ちもある。

 

そんなわけで、山崎伊織投手のピッチングには少し親しみを感じながら見ていた。だが、昨年大活躍したこの好投手に対し、ファイターズ打線は容赦なく襲いかかった。

 

特に目を引いたのは下位打線の爆発。8番セカンド上川畑選手が3安打の大活躍を見せた。守備範囲の広さも光り、ライトスタンドから見ても彼の背中が頼もしく感じられた。とはいえ、セカンドには若林選手、石井一成選手、奈良間選手もいる。二遊間のレギュラー争いは熾烈だ。

 

投手陣も安定していた。開幕投手に指名されている金村投手は、素晴らしいピッチングを披露。開幕に向けてしっかり仕上げてきている。さらに育成から支配下登録された松岡投手。サイドから投げ込む154キロのストレートは、実戦でもしっかり通用しそうだ。期待が高まる。河野投手、杉浦投手も万全のピッチングで、今年のファイターズ投手陣には隙が見当たらない。

 

打線では昨年の快進撃の立役者、田宮捕手がスタメン出場。広角に打ち分けるバッティング、安定したリード。うん、あのレフトに落とすバッティングが彼の真骨頂だね。

 

そして、新庄監督のお茶目な采配で、代打・山崎福也投手も登場。結果は三球三振だったけれど、いいじゃん、楽しいもの。

 

さあ、明日からはヤクルトとのオープン戦が始まる。もちろん、次の試合もスコアブックを片手に、しっかり見届けるよ。僕の大航海は続く。