作曲家の成瀬英樹です!

 

作曲家にチャンスを共有する小さな会社「合同会社BINGO!」を立ち上げ、プロ作家養成の「ソングライターズ・ホーム」もご好評いただいております。

 

このブログでは、「ソングライターズ・ホーム」のメンバーのみんなとの作曲Zoomセッション内容を日誌的に書いております。

 

さあ、昨日のセッションも実りの多いものでした。毎日、ベストを尽くして、すべてをお伝えしております。

 

 

9月26日(月)17:00  AKさん(シンガーソングライター)

 

前日に続いて二日連続のZoom。「ソングライターズ・ホーム」では基本的に月3回のZoomセッションで楽曲をブラッシュアップしていきますが、楽曲コンペに提出を希望される方の締め切り前のご確認のためなら補講オッケーであります。

 

昨日全体を整えた楽曲を実際にトラックを作っていきます。最初に聴かせていただいた時からアレンジのイメージは出来ていました。ノラ・ジョーンズ、ジョン・レノン、ヴァネッサ・パラディ(=レニー・クラヴィッツ)などのイメージ。

 

転調もなく、派手な仕掛けもない、「ただ歌詞と曲とボーカルが素晴らしい」この楽曲、確かに「楽曲コンペ」に出してヒットを狙うタイプではないのかもしれない。しかし、このエレガントさは少しの変更を加えただけで損なわれてしまうものですし、何よりAKさんの頭の中にあるイメージを膨らませる形で「作品」として完成させたかった。

 

そこで結果が良ければ最高ですし、仮にこの楽曲が返却されて来ても、AKさん自身が大切に歌い続けていけるように。「コンペ」は確かにビッグチャンスです。だからこそ「AKさんのスタイル」の中で最良の部分を抽出して、挑戦していただきたい。

 

AKさんの仮トラック(GarageBandで作ったもの)をぼくのLogicで読み込んで、Zoomで画面を共有しながら、まずはドラムを10分ほどで作っていきます。そのあと、アコギを弾き、ベースを弾き、エレキを弾きます。最後に仮トラックのコードのMIDIを使って、エレピとハモンドを作れば完成。60分を少し超えるくらいで完成しました。

 

嬉しいことに、AKさんは画面の向こうで涙を流して見てくれていました。ぼくとしても、お気に入りの作品になりました。明日の全体Zoomでの作家仲間の評価が楽しみです。

 

楽曲が強ければ、デモはシンプルでいいのです。機材も必要最小限で構わないと思っています。

 

ソングライターになりたいのであれば、プラグインを買うお金があるなら小さなレコードプレイヤーを買って、300円くらいの中古レコードを買い集めて、過去のヒット曲を聴き漁るとか、映画館に行って一本でも多く映画を観るとか。そういう「人と違うやり方」で感受性を育てることも、大いに必要になってくるとぼくは思います。

 

さあ、あとはぼくがミックスダウンをしてこの名曲を完成させます。もし返却されて来たら、ぼくのサロンで公開して、年に一枚リリースしているチャリティCDにも収録していただける、との約束です。

 

キープになっても、返ってきても嬉しい。そんな自分たちが愛情を持てる作品にします。

がんばりますよ!

 

 

19:00  Sちゃん(21歳 男性 大学生)

 

Sちゃんは就職を来春に控えた大学生。就職しても副業チャレンジとして「プロ作曲家」へのトライを続けたいとのこと。最後のモラトリアムのこの時期に、まとめてぼくから「メロディや歌詞」の考え方を学びたいと言ってくれてます。

 

自分の娘と同い年の若い方にそう言ってもらえることが、ぼくは本当に嬉しい。元々Sちゃんはゴリゴリのトラックも作れる方です。そこにメロディのツボを抑えることができたら鬼に金棒です。

 

今回のコンペチャレンジの楽曲デモ、Sちゃんの「仮仮歌」で上がってきました。素晴らしい。前回のZoomでぼくが提案させていただいたいくつかの箇所もしっかり自分のものにしていて。アドバイスをしっかり聞きながら、自分自身で考えることが肝要ですものね。

 

そこで、今回のデモの仮歌シンガーに「ミキパンダさん」を推薦しました。ミキさんも「ソングライターズ・ホーム」卒業生であり、BINGO!の仲間。「いいですねえ!」とSちゃん。早速トラックを送ったら、マッハの速さで歌って返ってきました。さすがミキパンダ。

 

Sちゃんの楽曲で嬉しかったのが、歌詞の作り方の足腰がしっかりしてきたこと。

・誰に何を伝えたいか

・キャッチーなサビのタイトルをどこに配すか

・主人公の心の動きをどう表現するか

・比喩はわかりやすく的確か

 

など、これまで何度も口酸っぱくライターズのメンバーにお伝えしてきたことが、すべてクリアされていることが、とても嬉しかった。このやり方で行けば、もっと素晴らしい歌詞をも書けるようになります。

 

ぼくたちは「作曲家」を便宜上名乗っていますが、本来英語の「ソングライター」が一番自分がやっていることに近いニュアンスだと思っています。「歌詞を含めた作家」で「ポピュラー音楽」であること。このニュアンスで行くと「ソングライター」が一番ぴったりきます。

 

ソングライターズ・ホーム」という名前にしたのも、そういったソングライターを目指すみんなと一緒に切磋琢磨していきたいと思うから。歌詞とメロディは不可分なのです。「作曲コンペ」だとしてもそれは変わりません。なぜならコンペとは「作品」をプレゼンするものであり、「歌」は歌詞とメロディで成り立っているのだから。

 

ぼくはそう信じています。