作曲家の成瀬英樹です。代表作はAKB48「君はメロディー」、前田敦子さん「君は僕だ」「タイムマシンはいらない」です。この3曲はBillboard JAPANで1位を獲得しました。

3曲ともに前田敦子さんがフィーチャーされた作品。

 

勝手なご縁を感じてしまっています。

 

 

 

現在は素晴らしい俳優としてご活躍の前田さん。またいつか歌をやられる際には、お手伝いが出来たら嬉しいなあ。今のぼくのささやかな夢です。

 

 

 

現在ぼくは、楽曲コンペの情報をシェアする会社「合同会社BINGO」を立ち上げ、個性的で才能あふれる、しかし今のところ「未採用」の作家たちとチームを組んで、日夜ソングライティングに勤しんでおります。

 

併せて、「コンペに提出したいがどうすればいいのかわからない」作家志望のみなさんのための画期的な研修制度「ソングライターズ・ホーム」を立ち上げ、埋もれた才能たちの「育成と再生」に力を注いでいます。ぼくの経験したこと、研究の成果をすべてお伝えし、ご好評いただいております。

 

もし、あなたが、あの頃のぼくのような迷える音楽家なら、一度ぼくたちの場所「ソングライターズ・ホーム」のドアを叩いてみてください。

 

 

 

「ソングライターズ・ホーム」開設から半年、研修生たちの成長ぶりにぼくが一番驚かされています。

 

「ソングライターズ・ホーム」の強みは、ぼくが主宰する作家事務所「合同会社BINGO!」の作曲家たちのミーティングに参加できること。先輩作家の作品をみんなで聴きディスカッションする。そのミーティングに月2回参加していただきます。「ソングライターズ・ホーム」の研修メンバーも「どの先輩の作品が一番採用に近いか」を考え、意見を発表します。

 

そして「ソングライターズ・ホーム」もう一つの特徴は、「研修生が作った作品も実際のコンペに出すことができる」こと。楽曲を作ってもらって、足りない部分をぼく達のチームが補います。例えばミックスが苦手ならエンジニアを紹介します。ギターやコーラスが必要ならぼくがやります。研修期間中1曲はぼくと共作をしてもらって、まずは形にします。(その必要がない方は最初から一人で書きます)

もちろん「楽曲ミーティング」で先輩作家たちとの曲と一緒に聴き、意見を交換しあえます。同期の仲間たちがどこまでがんばっているかもすべて可視化されています。

 

当然そこには成瀬の新作たちも入ってきます。「師と生徒」が同一の擬似コンペでディスカッションされる。ぼくにとっても大変刺激的であります。

 

「ソングライターズ・ホーム」では、こちらから「カリキュラム」を作って教えるのではなく、実際の研修生の作品に、ぼくが「その場で具体的」に提案をしていきます。メロディのこと、全体のサイズのこと、コードの付け方、歌詞の乗せ方、仮歌のチョイス、打ち込みで行くのか生楽器も混ぜるのか、ミックスダウンの音質調整と音圧のあげ方など。月に3回のZoomセッションで、ぼくの技術や考えをお伝えしています。

 

令和の現代、ポップス制作は「メロディ」よりも「トラック」が重要になってきているのは確かです。そんな今だからこそ、ぼくは後輩たちに「メロディと歌詞」の大切さを伝えたいと強く思っています。

 

それが「ソングライターズ・ホーム」を立ち上げた一番の理由です。

 

ポップスとは魔法。たった数分で人々の心をパッと明るく照らします。

その一番の主役は、永遠に色褪せぬような美しい「メロディ」なのではないか。それがぼくの世界観です。

 

ぼくとぼくが作った作品たちを信じて「ソングライターズ・ホーム」のドアを叩いてくれたみんなには、すべてをお伝えしています。

 

 

 

9月9日(金)Tさん(男性 59歳 会社員) Zoomミーティング

 

Tさんは「ソングライターズ・ホーム」の初期のメンバーの男性。

 

楽曲事務所で数年コンペに挑戦するもなかなか結果が出ず、それでもずっとチャレンジをやめなかったTさん。物静かな語り口ながら、心に熱いものを感じる人生の先輩です。

 

Tさんのデモで唯一気になったのが、「音色のチョイス」のアップデートがされていないこと。音が「古い」と感じてしまうのです。

 

これに対処する方法は簡単です。「古い新しい」を決定づける音を使わなければいい。

 

メロディと歌詞と歌が強ければ、サウンドは出来るだけ簡素でいい、というのがぼくの考え方です。「最新のサウンド」はあっという間に古くなります。「あらかじめ普遍的な曲」を目指せばいいのですね。

 

アコースティックギターの音にしてもその空間エフェクトの処理で一気にダサくなったりします。じゃあ空間系をほとんど使わなければいいのです。キーボードは「生ピアノ・エレピ・ハモンド」で事足ります。サビは「字ハモ」でタイトルを分厚く包み、「ウーアーコーラス」をパッドのかわりに配します。

 

Tさんには「バンド作戦」と名付けたこの作戦を伝授し、なんと研修中の一曲目から結果を出すことができました。伺えば前事務所で「6年間」まったく結果が出なかったということ。6年間...ほんとうによくがんばられました。

 

大変喜んでいただいてぼくも心から嬉しかった。

 

作家にとって一番大切なのは「自信」。Tさんにあらためて大切なことを教えていただきました。

 

今回のTさん新曲はいわゆる「モータウン・ビート」。スプリームスの「恋はあせらず」のこれですね。

 

 

聴かせていただいた曲、「サビ」とされているチャーミングなパートを、「Aメロ」にして、よりグッとくるサビをつけることを提案。メロディの流れをMIDIで調整したり、実際にぼくが歌ってみて「このような譜割りがここに入る」などメロのイメージのご提案をして終了。次回がとても楽しみです。

 

モータウンって難しいんですよ。普通の曲のように「ストーリー」的なコード進行を並べるとすごく冗長に感じてしまいます。「恋はあせらず」のように、キャッチーな展開を次々に並べることがうまくいく秘訣です。

 

例えば、ぼくの作曲・編曲の「モータウン発展系」NMB48「休戦協定」では、ど頭に「Get Back!!」から始まる「シャウト系」のパートを入れることで、続く大きなメロディーのサビとの対比をくっきりさせています。

 

もし「Get Back!!」パートがなかったら、この曲の採用はなかったでしょう。

 

 

次々にメロディやパターンが展開されていくのがお分かりいただけることと思います。

 

 

Tさんには次回、「歌詞の書き方」をじっくりお伝えしたいと思っています。

仮歌詞ってほんとうに重要ですからね。