こんにちは!成瀬英樹です。

ぼくの作曲家としての最初のヒットはAAAの「Shalala キボウの歌」

 

 

長いコンペ不採用の時期を経て、約4年半で初採用となった思い出の曲です。

 

現在ぼくは、楽曲コンペの情報をシェアする会社「合同会社BINGO」を立ち上げ、個性的で才能あふれる、しかし今のところ「未採用」の作家たちとチームを組んで、日夜ソングライティングに勤しんでおります。

 

併せて、「コンペに提出したいがどうすればいいのかわからない」作家志望のみなさんのための研修制度「ソングライターズ・ホーム」を立ち上げ、埋もれた才能たちの「育成と再生」に力を注いでいます。

 

もし、あなたが、あの頃のぼくのような迷える音楽家なら、一度ぼくたちの場所「ソングライターズ・ホーム」のドアを叩いてみてください。

 

 

9月6日(火)

 

13:30    Lさん(主婦&シンガーソングライター)Zoomセッション

 

前回の「モータウン系」楽曲は、やや背伸びをした感があり、一旦忘れてもらう(笑)

気を取り直しての新しい曲、とてもよかった。

 

Lさんとの出会いは1年半前。当時世界的に著名なバンド(ニルヴァーナと全米ツアーするようなバンドだ)に在籍していた彼女。作曲でもがんばってヒットを出したいとの強い思いを伝えてくれた。

 

その際に聴かせてもらったデモは採用レベルには達していなかった。バンドをずっとされていたため、打ち込みを中心としたトラック作成が苦手なのだと感じたが、メロディの強さに惹かれた。志が大きい人はすぐにわかるのだ。

 

彼女は1年前、ぼくの小さな会社「合同会社BINGO!」の立ち上げに「オリジナルメンバー」としてご参加いただいた。苦手だったトラック作成も、ぼくが紹介したエンジニアとうまく協力して、いくつかの曲は良い結果を出し始めていたのだが、数ヶ月前に「もう一度作曲を一から勉強したい」と「ソングライターズ・ホーム(以下ライターズ)」に入ってくれたのだ。

 

ライターズのメンバーになってからは、同じく研修中のメンバーとコライトチームを組んで、結果を出している。ここのところ自信がついてきた感じを受ける。

ぼくとも一曲コライトし、痛快な曲ができた。

 

彼女の一番の魅力は「失敗を恐れない」ことだ。

 

よくぼくは彼女の曲に「全取っ替え」を提案するのだが、それでもへこたれずに曲を書いてくる。ご自身の音楽活動と子育てやお仕事の合間をぬって。決して「忙しい」などと言い訳をしない。

 

さすが、全米を席巻したバンドの元メンバー。プロ意識が頭抜けている。

 

昨日の曲には、Bメロを半分の長さにエディットすることを提案した。実際にぼくが2ミックスをその場でカットして一緒に聴きながら調整した。ぼくは「サビに到達する時間」はなるべく短いほうがいいと考えているので。

 

しかしながら、決めるのはもちろん、作者である彼女だ。

 

そして、サビが弱い。このままでも「まあまあ」ではあるが、未採用作家に「まあまあ」の曲を書いている余裕はないはずだ、と伝える。

そして、いくつか具体的にメロディと歌詞の提案をして終了。

 

そう、歌詞。コンペ楽曲とはいえ、仮歌詞をしっかり書かないと、採用は遠い。タイトルをどこに折り込むか、まずはそれがその曲を「キャッチーである」と認識させる最重要なテクニックだ。




14:15  Tさん(30代 焼肉店勤務)Zoomセッション

 

Tさんも「BINGO!」の既存メンバーでありながら、「ライターズ」の研修を一から受けていただくことになった。

ここのところのライターズメンバーの躍進に触発されたようだ。

 

彼からデモをもらった時期にはまだ「ライターズ」の研修制度はなかった。彼のトラックのクオリティは素晴らしいのだが、コンペに何曲提出してもなかなか結果を出せずにいたのを、ぼくも歯痒い思いでいた。

全体の構成力とメロディの繰り返しのセオリーさえ覚えたら、とんでもない作家になる、とずっと感じていた。

 

まさか既存の作家さんに、こちらが細かく口出しをすることは出来ないので、このタイミングでの「ライターズ」への参加表明をとても嬉しく思うと共に、なんとか結果を出させてあげたい、と我が身を引き締める。

 

今回がTさんとの「ライターズ」として最初のセッション。

 

しっかり仮歌まで入れてくれてのデモ。ボーカルをメロダインに取り込み、まずAメロのメロディのブラッシュアップ。いわゆる「カノン進行」ではメロディの流れを間違うと、美しいメロディとして響かない。具体的に一音一音上げ下げして、聴いてもらう。明らかに「キラッ」とするのがわかってもらえたのか、いつもクールなTさんに笑顔が弾けた。

 

同じくBメロも少しメロダインで調整。サビの前半は「全取っ替え」を提案。トラックやコード進行は抜群なので、少しメロをその場で歌って提案、とても良いメロディと歌詞が降りてきた。Tさんとぼくはやや興奮気味に。この瞬間が作曲の醍醐味だ。

 

「この曲はよかったらぼくとの共作にしませんか?」と提案、快諾いただく。

 

2mixのトラックを切り貼りし、構成を再度練り直し終了。トラックが70%できたら、仮歌詞をぼくが書いて、仮歌さんに渡す。仮歌詞の書き方もTさんにしっかり伝えたい。

 

コンペに出す楽曲とは「作品」であるべきだ。もし、その仮歌詞を採用されないのだとしても、作家は「歌」を作り、その歌をプレゼンするのである。歌詞がよくなければ、いい歌にならないのは自明であるはずだ。ぼくはそう考えている。

 

作家たちには、『ジョン・レノンの「Imagine」をシンセメロで聴いて、名曲だと思えるかい?』と、問うことにしている。