一昨日は原宿クロコダイルで、ぼくたち「On The Beach」の初めてのライブでした。

 

 

 

 

バンドという名の「チーム」を組み、結束を固める作業は大変に楽しいものです。今回の「On The Beach」結成には大きく分けて二つのファクターがありました。

 

一つ目は「和久井光司」さんとの出会いです。今年のはじめくらいでしょうか、ひょんなことから和久井さんのライブに伺う機会があり、「著書を長く愛読させていただいている」ことと、「自分も音楽をやっているので、もし前座などご用命がございましたらぜひ」とをお伝えしましたら、「じゃあ夏あたりどう?」とお声をかけていただいたのが春先でした。

 

もう一つのファクターが昨年の「合同会社BINGO設立」です。楽曲コンペ情報という「チャンス」を共有する小さな小さな会社を作りました。そこで出会った「ネロ」という大変に独創的な作家に目をつけていました。

 

そう、ネロとはあの「アコギ坂」でも同じ釜の飯を食った「坂友」でありまして、「成瀬英樹BAND」のギタリストでもあります。前からギタリストとしての実力はもちろん知っていましたが、ネロの本質は実は「ソングライター」なのです。

 

 

 

 

一年前、ぼくは作家事務所「合同会社BINGO」を立ち上げました。その際Twitterに投稿した「所属作家募集ツイート」を見て、ネロは連絡をくれました。「こんな曲書いてるんですが、どうでしょう?」って。

デモを聴いてぼくはぶっ飛びました!こんないい曲かけるの?! ぜひ弊社から作品を出させてほしいって、こちらからお願いしました。そのデモでの、ネロのボーカルがまたカッコよくって。おいおい、歌も歌えるのかよ、先に言ってよ、と。

 

 

和久井さんと共演させていただくにあたって、前座にもかかわらず「バンドでやってもいいよ」と言っていただけたので、もちろんネロを誘いました。ドラマーはお互い知っている伴先輩にダメ元でお願いするとなんと引き受けてくださいました。これが大きかった。

憧れのThe Shakesのドラマーである伴さんが、ぼくとネロの「温故知新ポップ」のキモを存分に広げてくれるんですよ!こんな素敵なことってありましょうか。

 

 

 

 

ベースの岸田小石くんは「Citty」のリーダーで名ソングライター。ネロから紹介を受けて曲を聴かせてもらい、こちらも一発で「ぜひ弊社から作品を」となりました。その流れで、「こんなバンドの企画があるんですが、ベースでいかがでしょう?」とお願いし、快諾いただきました。

小石くんとは人脈やホビーが近いこともわかり、何より「キャッチーなポップス中毒」という点も彼とぼくをつなぎました。

 

 

 

 

小石くんが大切にしている「なつやすみ組曲」と言える作品の中から2曲をOn The Beachで、ぼくの歌で歌わせてもらうことになりました。オリジナルシンガーのCitty「グミ」さんのような清涼感あふれる歌唱には近づけないにしても、この名曲の繊細な物語をしっかり身体に入れるべく、シンプルな言葉で言うと「たくさん練習」しました。メロがガンガンテンションに行って、歌い手にとってはかなり難易度の高い曲ですが、そこがたまらなく魅力的なんですよね。こんな曲書けるなんて、ほんとうらやましい。とてもいい経験をさせてもらってます。

 

 

「歌詞」と言えば、今回のライブでぼくの「作詞」は一曲もありません。

 

なぜなら、今回歌った成瀬作品の4曲は、ぼくのオンラインコミュニティのメンバーからいただいた歌詞に曲をつけたものだからです。そのコミュニティに今では30はおそらくゆうに超える「作品」たちが公開されています。3年ほど前にはじめた「コミュニティのメンバーとの共作」というアイデアがついにこの段階まできた、と感慨深いです。

 

今では誰もが毎日「表現活動」をしています。歌詞だって書けるんです。誰もが物語を心に抱えてる。それを「歌」にすることで、魂が救われることをぼくは身をもって知っているから、その喜びを分かち合いたくてはじめたコミュニティでした。「俳句」「川柳」とかそんな感じで、もっと気軽に「ソングライティング」を楽しんでもらえるんじゃないかと思うんです。

 

ぼくを応援してくれるファンと一緒に曲を作り、それを歌う姿を見ていただくこと。そんな形の作品の発表のやり方。プロセス、自由さを、今のぼくはとても気に入っています。

ぼくの仕事は「エンタメ」と「作曲」なのだから、「作曲する姿を見てもらう」という挑戦をまだまだ続けていきます。

 

 

「On The Beach」命名は和久井さん。我らがゴッドファーザー(名付け親)ですね。和久井さんのライブで共演きっかけで結成できたバンドなので、和久井さんにつけていただくことが出来たらと思いお願いを、多数の候補をいただきました。10以上は出していただいたと思います。その中から、メンバー一致で決まった名前です。大変に気に入っております。

 

最初のリハーサルからずっとiPhoneで動画を撮り、それをぼくのコミュニティで販売しました。バンドのリハをずっと「壁に止まったハエ」のようにのぞき見する感覚で「Fly On The Wall」と名付けて。いただいたお金をすべてバンドの運営費にして、じっくりリハーサルに入れたのが本当に大きかった。バンドでレコーディングまですることが出来ました。ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました。数えてみたら、20時間リハに入り、14時間のレコーディングを共にしました。

 

 

 

 

これも「最初は未完成なもの」がどのように固まっていくのか、その過程こそが面白い、と思うから。この奇抜なアイデアを面白がってくれたメンバーにも感謝です。

 

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ぼくを含むこの3人のソングライターは日々「結果」を求められるコンペ楽曲で切磋琢磨しています。社内のミーティングで曲を聴かせあって、「このサビの展開が…」みたいなことをしょっちゅうやってるわけです。それぞれの楽曲へのリスペクトはZoom越しにも伝わります。ここで得られたお互いの信頼感が、初めてのライブにも関わらず「バンドの一体感」につながったのです。

 

そして。最後のピースは「リッケンバッカー330」の起用、でした。

 

20代、FOUR TRIPSの頃の使用楽器を持ち出すことは、実は大変に決意がいることでしたが、ここのところのぼくのポール・マッカートニーのマイブームアルバムが「Flowers In The Dirt」で、コステロの進言でポールがヘフナーのベースを「再起用」することになった件を自分に当てはめてみたのです。

ポールはこれ以降、ずっとこのヘフナーという「ビートル・ベース」をプレイし続けることになります。ぼくも同じように「これから先はリッケンを弾く人生」もいいな、と思ったんです。

 

今回、中古で手頃な価格で、上物を手に入れられたのはラッキーでした。中古楽器探すのは得意だし楽しいんです。

 

あらためてじっくり弾きこんで理解しましたが、ぼくは20代の日々にこのギターによって育てられたのだな、と思います。楽器がプレイヤーを育てるって、あるんですよね。だからね、本当に久しぶりにプレイして、「ああ、これこれ、この使いにくさ!たまらない!」ってなりました。音はもちろん、最高です!

 

リッケンバッカーって、存在自体がすでに「パロディ」ぽくなる、とても危険なアイコンでありまして、持つ人の存在感と一体化していないと最高に「ダサい」ことになります。しかしながら、「あまちゃん」における名セリフにもありますように「ダサいくらい我慢しろよ」なのです。リッケンを持つことによって伝えられるメッセージの情報量の多さと「かなりの確率でダサくなる」ことはトレードオフだから。

そもそも、ぼくの芸風は「ステレオタイプのロックのステージング」をこの「非ロック」なとぼけたルックスで行うことによるダサさを笑っていただく」ものなので、リッケンとの親和性もバッチリです。

 

ライブ終演後、ファンのみんなや、友人たちのほとんどが「リッケン」に言及してくれました。「リッケン似合ってました」「リッケン最高でした」って。そんなギター、他になかなかないよね。「生リッケンが観たいから次回は必ずいきます」って嬉しいメッセージもいただきました。伝わってほしいことが伝わったという喜びを感じます。

 

 

 

 

和久井さんと、窪田晴男さんというレジェンド、大先輩であるお二人の、ぼくたち後輩への優しい眼差しにも感激いたしました。窪田さんの「この子たちはこの時代に無謀にも、ど真ん中の豪速球で三振を取ろうとしている。まるで藤川球児のようだ」というお言葉と、和久井さんの「今の日本にはいないタイプのバンド、必要なサウンドだ」と言っていただけたことを大変に大変に、光栄に感じました。

 

 

 

 

お二方には、終演後にもさまざまなアドバイスをいただきました。


ぼくも53歳になり、近頃はなかなかアドバイスなどいただく機会もなくなっていますので、本当に本当にありがたく、一言も聞き逃すものかと耳を傾けました。
次回、また観ていただくときに、「お!うまくなったね」って言っていただけるようにがんばります!

 

 

和久井さんと窪田さんのバンド「東京暮色」のライブ、ザ・バンドの日本語カバーなども挟みつつ、ボウイの同じく日本語カバーとか、もう最高で。アンコールでご一緒させていただいた二曲のそれぞれのオリジナルナンバーも、圧巻でした。クロコダイルのステージの上で、右に和久井さん、左に窪田さん、暮色の最高のメンバーのみなさんに、On The Beachの仲間たち、と歌えたことと、スポットライトの眩しさと熱とともに、忘れられない夏の記憶になりました。

 

ぼくたちOn The Beachのステージは、ネロの個性的なロックンロール4曲を頭と最後に配置し、ぼくと小石くんの曲たちをサンドイッチする形にして、最後に「リプライズ」として最初とおんなじ曲を演奏する。「サージェントペパー」方式でガツンとやりました。いやあ、楽しかったですね。両先輩たちに盛り上げていただいたこともあり、お客さんも大変にホットでした!ありがとうございます!
 

さあ、次回のOn The Beachは10/8、ドラマー伴さんの生誕祭として、伴さんがドラムをつとめる2バンドの共演&伴さん出ずっぱりナイトです!楽しみ!


成瀬英樹のオンラインコミュニティ「Song Garden」

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結果&プロセスの二刀流コミット「作曲プロ養成コース」
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成瀬英樹 オフィシャル 

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