心斎橋筋2丁目劇場は、心斎橋の商店街の南の端、戎橋の近くのビルに入っていた。エスカレーターで二階へ上ると劇場。出演者の楽屋へはエレベーターか非常階段で二階へ。三階には事務所とステージを見下ろすように音響調整卓や照明部屋がある。

 

三階からステージを正面真後ろ上から観ることが出来た。僕はよくそこから、WA CHA CHA芸人達のネタをじっくり観させてもらったものだ。今思えば贅沢だよね。まだ売れっ子になる前の、ギラギラした芸人達がしのぎを削る様を感じることが出来たんだものね。

 

千原兄弟は当時のWA CHA CHA LIVEの象徴のようなコンビだった。クールでシュールなネタ、鋭いトーク。当時のジュニアさんのことをよく「ジャックナイフ」と形容する人がいるけど、まさにジャックナイフだったよ。「おはようございます」と言っても「ああ」と答えてくれたらまだいい方だった。彼は僕よりかなり年下の筈なんだけど(笑)

 

せいじさんもステージ上では、僕らかなり厳しく突っ込まれたけど、普段はぶっきらぼうながら優しい方だった。すれ違う時に「最近、頑張ってるやん!」なんて言ってくれたりね。

 

雨上がり決死隊のネタが僕は大好きだったから、一緒に営業で学園祭に行く仕事が入った時は嬉しかったね。高校の学園祭で全校生徒の前で「お出かけWA CHA CHA」をするわけ。まず僕たちFOUR TRIPSが演奏して、芸人たちがネタを披露する。

 

出番が終わった僕は袖から雨上がりのネタを観てた。高校生達を放送禁止用語満載でいじり倒すのよ(笑)それでも生徒達には爆笑に次ぐ爆笑で、宮迫さんって方はモノが違うんだなあと思い知らされた。

 

でもね、一緒になった楽屋ではイメージとは逆で、蛍原さんは豪快に競馬新聞を読んで札束を数えてたんだけど、宮迫さんは僕たちにも「サンドイッチ、食べますか?」なんて訊いてくる人でした。あはは(笑)

 

2丁目劇場ではFUJIWARAのネタが始まったら、楽屋が空になった。みんな三階に観に行くんだね。あの二人の生のステージの破壊力はちょっと群を抜いていたなあ。ブルドーザーみたいに全ての人を巻き込んで爆笑の渦に変えてゆく。

 

ジャリズムもよく出演していた。その後大ブレークしたナベアツさんは、僕たちが出番後機材を運んでいたら、何も言わず手伝ってくれた。いろんなことを忘れてゆくけど、そんなことは良く覚えてるんだね。

 

FOUR TRIPSをイベントに呼んでくれた「やるじゃねーかーず」や「しましまんず」には本当に感謝している。決して人付き合いがうまいわけじゃなかった僕たちを彼らのソロイベントに起用してくれて、お客さんへのアピールの機会にもなったし、彼らの姿勢から学べることは本当に大きかった。

 

中川家も大好きだった。勝手に「同期」と思って親近感を覚えてた。僕たちも中川家も一見派手さのない「温故知新」なスタイルだったしね(笑)M-1で彼らが優勝した時は、僕も嬉し涙が溢れて止まらなかった。「本物は必ず世に出る」と胸に刻み励みにした。感動した。あれで日本のエンタメが変わったとすら僕は思ってる。

 

ケンコバさんもよく廊下ですれ違ったなあ。陣内智則くんもナイスガイだった。みんな売れて本当に嬉しく思ってる。残念ながら表舞台で売れなかった芸人達も、劇場で芸を磨き続けながらチャンスを伺っていたり、作家など裏方で頑張ってたりするんだ。僕も負けていられないなあ。ずいぶんと負けてるけど(笑)

 

僕は当時25,6か。必死だったけど、彼ら芸人達の競争の厳しさは、そばで見ていて身震いがするほどだった。現在でもそうだけど、吉本の層の厚さは、こうした毎日の戦いの積み重ねなんだと痛感したし、俺たちバンドはまだまだ甘いな、とも思わされたよ。

 

この頃、僕らも時々テレビに呼んでもらった。2丁目に出ていた頃は、月に一度くらいは「FOUR TRIPSの成瀬さんですよね」と声をかけられた。その後メジャーデビューしてからはそんな経験一回もないから!!!(笑)それだけでもWA CHA CHAの影響力がわかるってものでしょ?

 

これは、なだぎ武さんのいたコンビ「スミス夫人」と番組の企画でエビスビールのCMを作ったものだ。二人ともシャイな人で、僕らもそんな感じだから、友好的とは言えない状況で撮影されたけど(笑)、制作は意見を出し合ってとてもいいものができた。当時は評判がよかったんだよ。番組の司会の清水圭さんも「ええ曲やん」と褒めてくれた(笑)

 

 

 
 

いつもありがとうございます。

成瀬英樹

http://www.hidekinaruse.com

 

 

 

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Live Information 

2018年12月10日(月)
「成瀬英樹・生誕50祭 / ヒデキ感激!ナルーソニック!」

出演:
成瀬英樹
スペシャルゲスト:
石田ショーキチ
黒沢秀樹
榊いずみ
SOWAN SONG
etc.

下北沢 風知空知
時間:開場18:30/開演19:30
料金:前売り¥2,800/当日¥3300
(共に+1Drink600円)

風知空知メール予約のみ(先着受信順整理番号付き)
●メール予約:風知空知 yoyaku@fu-chi-ku-chi.jp
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