もう「メロディー=旋律」を書くこと”のみ”を

「作曲」と呼ぶことは出来ないのかもしれません。

 

今年リリースされたNGT48

「Whatcha Gonna Do」

 

僕、成瀬英樹もyou-me名義で作曲編曲に参加しています。

 

 

「Whatcha Gonna Do」2018

作詞 秋元康

作曲 you-me,APAZZI

編曲 APAZZI,you-me

 

音楽仲間のAPAZZIくんと

コライトで作り上げた自信作です。

 

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特にここ数年

コライト=共作

と呼ばれる作曲スタイルが

日本でもポピュラーになって来ました。

 

コライトとは

二人以上の音楽家のアイデアを

交換しながら作品を作ることで

作詞、作曲、編曲、とそれぞれを

分業で賄うスタイルではないものです。

 

欧米ではコライトはかつてから一般的で

ビートルズもストーンズも

モータウンサウンドのいくつかも

コライトと呼べるものです。

今でも海外作品のクレジットを見てみれば

ソングライターの名前が何人もズラリと並んで

いることが多いでしょう。

 

むしろ日本のように

作詞!作曲!とパキッと分かれている

場合の方が少ないのではないかと

僕は感じます。

 

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基本的にはオールディーズ風味のポップスを

得意としている僕には

とても一人でこの「Whatcha Gonna Do」のような

本格的なEDMを仕上げる技術はありません。

 

ただ、フックのあるメロディーや

フレーズを提案することは

出来るかもしれない。

 

そこで、APAZZIくんと相談し

どのような方向の楽曲にするかを決め

トラック(オケ)をお願いして

その上に僕がメロディーを乗せるやり方で

曲を仕上げました。

 

ありがたいことに「Whatcha Gonna Do」は

コンペを通過し、リリースされるに至りました。

僕の(そしてAPAZZIくんの)プロフィールに

新たな作品が加わったわけです。

この嬉しさは何度味わっても

変わらないものです。

めちゃめちゃ嬉しい。

 

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ある笑い話があります。

 

 

「Whatcha Gonna Do」を聴いた

友人作曲家が

僕にいたずらっぽく笑いながら言いました。

 

「あの曲、めっちゃかっこいいすけど

成瀬さんはメロディーを書いただけじゃないですか!?

 

「おいおいそれを作曲って呼ぶんじゃないのかよう?」

 

と気の弱い僕は心で叫び

顔は苦笑いでした。あはは。

 

しかし

メロディーを書いただけでは作曲とは言わない

という概念が根付いてきたのだな

とはっきり実感した一言でした。

 

実はこの「Whatcha Gonna Do」の

メロディーを作るのに

僕は10分もかかっていません。

集中して2、3回聴きながら

メロディーをハミングすれば

全てのパーツは出揃いました。

 

素晴らしいトラックとはそういうものなのかな。

そこにもうすでにメロディーが隠れていて

僕らはそれを見つけてあげるだけ。

 

そしてこのメロディーは「トラック込み」の

ものなので、弾き語りで

再現することは不可能です。

 

弾き語りとはメロディー(と歌詞と歌唱)

を裸にする表現法なのですから。

 

一人で作るより

共同で作ることによって

新たな視点が生まれ

お互いの得意な部分が活かされる

コライトという作曲法。

 

もしあなたが一人で煮詰まっているなら

思い切って仲間に声をかけてみるのも

いいかもしれません。

 

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ちなみに音楽的には一見

なんの接点もなさそうな僕とAPAZZIくんが

意気投合したのは

お互いがかなりのビートルズマニア

だったからなのです。

 

本当にどこで何が幸いするか

わからないものですね。

 

成瀬英樹