12
「お前……冷たい……」
「ごめん。でも、もう少しこのままでいさせて」
カイは切なそうに言い、更にエリスの細い腰に手を回してぎゅっと抱きしめた。
抱きしめられると、、自分が姉ではなく初めて女として扱われたようで、エリスは戸惑いを隠せなかった。
「ずっと逢いたかった……」
耳元で囁く声。
カイの吐息が熱い。
エリスは、心臓の位置が急に耳元に移動したのではないかと思うくらいバクバクと大きな音をたて、いつもだったら照れ隠しに突き飛ばすところを、なぜか体が硬直してできない。
むしろ心のどこかでは、カイにそうされる事をずっと求めていたような気がする。
カイはゆっくりとエリスのおでこに自分のおでこをつけると、悟りをひらいているようにじっと何かを考えていた。
自分の高い体温が、冷たい体のカイに移り、暖かくなっていく。
じっとその姿勢でいると、自分の気持も体温と共にカイに伝わってしまうのではではないかと、エリスは気がきではなかった。
カイはゆっくりとエリスにまわした震える手で金色の前髪をかきわけると、そこに優しくキスを落とした。
*
「カイ……?」
エリスがカイを見上げる。その瞳は、今まで見たこともないように美しく濡れて、初めて逢ったあの時と同じように吸い込まれそうになる。カイは気がつくと自分の唇をエリスに重ねていた。
いつものエリスなら、突き飛ばしていただろう。
突き飛ばされなかったのを肯定ととったカイは、一度唇を放すと、ぎゅっと細い肩を抱きしめて、今度は深い口づけを落とした。
エリスもゆっくりと口を開いて、カイに応じる。何度も角度を変えながら。
夢でもいい。逢いたかったエリスさんと、こうしていれるのなら。
神様……。
僕に勇気を下さい。
道徳に反する事とわかっていても、僕は義姉さんを求めずにはいられない。
エリスさんを忘れないように心に刻みたい。
たとえ命がつきたとしても、一度でいい。義姉を抱かせてくだい。
「エリスさん……僕を感じて」
「僕を忘れないで……エリスさん」
側にあった天蓋付きのベッドにゆっくりとエリスの体を沈めると、エリスの濡れた金色の瞳に自分が映り込んだ。
その夜、カイとエリスは、最初で最後の契りを交わした。
to be continued……