ピアノマン 第三章 5 | 一期一会

一期一会

本も人の出会いも一期一会。時々読者、時々物書き。好きな本やコミック感想を中心に、日常のつれづれと共につぶやいていきます。

第三章



 そうだ。ここから覗けば見つかるだろうか。
屋上を探しに来た時だった。今いる建物は学園内では一番高い建物だ。学園内の全部が見えるわけではないけれど、多少見込みはあるかも。
アルフォンスは四方金網で囲まれた屋上から、目をこらして下を覗いてみたが、下を見下ろしてみてもあの怪しい集団は見あたらなかった。
段々と日も落ちてきた。早くしないともっと見付けづらくなる。
オスカーは一体、今、どこにいるのだろう。もし、自分が逆の立場だったら……考えろ。
アルフォンスはじっと双眸を閉じた。
かすかにきな臭い匂いがする。目をあけると、遠くに煙りが立っていた。
 あれは焼却炉か?こんな時間に掃除をするのも変な話だ。
 アルフォンスは急いで焼却炉の方へ向かった。
焼却炉の側までくると、誰かがその前でうずくまっていた。すでに薄暗くなっていて、誰だかよくわからない。
「あの、どうかしましたか?」
 少し遠くから声を掛けてみたが、腕が痛いのかうめき声だけしか戻って来ない。もう少し近づくと、うずくまっていたのはオスカーだった。
「オスカー!」
右腕が痛むのか、左手で押さえて地面に転げ回っていて、近くには楽譜がばらまいてあった。
「大丈夫? 何をされたの?」
 慌ててアルフォンスがオスカーに近づくと、焦げ臭い異臭が鼻をついた。 見ると押さえた右腕が赤黒くなっている。すぐに火傷だと気づいたアルフォンスは、火の始末に用意してあった水の入ったバケツを見付け運ぶと、寝ころんで痛がるオスカーの腕ごとバケツにつっこんだ。
「痛てぇ! 痛てぇ!」
 オスカーは、眉間に皺を寄せながら堪えていたが、アルフォンスにはこれ以上何もできない。
「ごめん。しばらく我慢して。すぐに人を呼んでくるから」
 アルフォンスは救急車を手配してもらうべく、事務室へ走った。




to be  continued……