Chapter5:親友 2
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気がつくと、夜も遅い時間だった。
最後に左右翼の下にある二カ所のミサイルのカバーを、高圧リベット打ってようやく完成した。
「これで終わりか?」
「ええ、とりあえずハード面は。ありがとうございました」
「礼を言うのはこっちの方だよ」
ミキは心底、気持ちがよかった。もちろん、自分専用の戦闘機の調整ができたのも嬉しかったが、アドルフと一緒に作業ができたからなのかもしれない。
道具の片付けにとりかかっていると、アドルフはまだ満足できていない様子でブツブツと呟いた。
「あとはエンジンのスイッチを入れた時、ちゃんと残量の表示が出るか、飛行中、操作できるかの問題が残っていますが――」
「飛行中か?」
「ええ、でも、これは今日のところは無理ですね」
流石に飛行中の操作は、ここでは無理だ。仕方ないですね。と諦めモードで、アドルフは肩を軽く上げる。ミキに続いて、出した道具を元に戻し始めた時だった。
「今から飛ぶぞ」
「え?」
「聞こえなかったのか? 今から飛ぶ。実際にミサイル発射は無理でも、ミサイル残量と、ロックオンまでは確認できるはずだ。夜間飛行の訓練も兼ねて、って事にすれば、誰も文句は言わないだろ?」
確かに、ミサイルを発射できなくても、試せるテストはいくらでもある。願ってもないことだろうが、いくらパイロットだからと言って、勝手に戦闘機を発進させることはできないはずだ。
戦闘機を発進させるには、ミュンホ長官の許可が必要となる。昼間ならともかく、今は夜中だし、第一、ミュンホ長官が今夜基地を不在なのは、アドルフも知っていた。
大概、非番の日は街に出て、翌朝、朝帰りなのだろうから、飛行許可をとるなど、無理な話だろう。
「まあ……それはそうなんでしょうけど。でも、今からじゃ飛行許可をとるのが大変なんじゃないですか?」
「そんなの後でいいだろ? オレとミュンホ長官の仲だ。どうにでもなる」
自信たっぷりのミキの言葉に、アドルフは素直に納得した。
「なんなら、お前も一緒にくるか?」
「え?いいんですか?」
願ってもない話だった。
ミキが乗っているF15のイーグル系戦闘機は通常一人乗りが多いが、後ろの補助シートを用いれば、少々狭いけれど、もう一人分の座席はある。
「もちろん。その代わり、後ろの座席で少々狭いのは我慢しろよ。オレ様の操縦する戦闘機に乗せて貰えるなんて、めったにない事だからな」
ミキはふざけて言ったのだが、アドルフはそうとらなかったらしい。
「ありがとうございます!」
さも嬉しそう頬を染めて速攻で礼を言った。
to be continued……