あなたは右打者? 左打者? | 女の子のための『野球、ルール以前のモンダイ』

あなたは右打者? 左打者?

右利きなのに左打ち?

殆どの人は利き腕というものを持っています。要するに右か左か、どちらがより自由自在に扱えるかということです。もちろん、利き足というのもあります。野球選手はボールを投げて打つのが商売ですが、では、どちらの腕を使って投げたり打ったりしているのでしょうか。という質問は実はちょっと妙です。だって利き腕というのは「より自由自在に扱える腕」という意味でしょう。だとしたら、投げたり打ったりするのも利き腕でした方がいいはずです。でも、実際には利き腕ではない方を使っている選手が少なからずいます。特に利き腕は右なのに左で打つ選手が多く存在します。(投手ではあまりいないようです。)
なぜでしょう。

あなたはどっち?

その前に、右打者と左打者の違いについて見てみましょう。まず、あなた自身がどちらのタイプなのか、調べましょう。鉛筆、お箸、ほうきなど何でもいいのですが、細長い物を剣道の竹刀を持つように握ってみてください。そのとき上になった手はどちらですか? 左が上になった方は左打者、右が上になった方は右打者の方が向いています。調べる際、ぞうきんを絞ってみてもいいのですが、最近横絞り(ぞうきんを床と平行にして絞る)をする人が増えているそうで、そのやり方では判断できません。
上になった方の手をその手と同じ方の肩に(右手なら右肩)近づけます。それがだいたいのバットの構えになります。そうすると右打者の場合、左側に投手を見ることになりますね。逆に左打者の場合、右側に投手を見ることになります。

どっちが有利?

ここからは想像力を働かせてください。あなたはバッターボックスに立って投手と対決しています。その投手が右腕を使って投げる場合と左腕を使って投げる場合ではボールの見え方が違うと思いませんか?違う、ということはどちらかが打ちやすくて、どちらかが打ちにくいということもあり得るということです。そして一般的には右の投手に対して左打者が、左の投手に対して右打者が有利と言われています。
ですから、次の打順が左の強打者という場面で右の投手を左の投手と交替させたり、それを見た攻撃側がさらに右の代打を送り込んだりということが、プロ野球ではしばしば行われます。

では、最初の問題、なぜ右利きなのに左打ちの選手がいるのかを考えてみましょう。大半の日本人は右利きです。そして同じ割合で大半の投手も右利きです。右投手への対応が容易と言われる左打ちができれば、実戦でも有利な戦いができるというものです。
しかし、実際にはそれが当てはまらないケースも見られます。川上憲伸投手【中日】は右投手ですが、右打者により打ち込まれていますし、左打者の大村直之選手【元近鉄、今年からソフトバンク】は右投手より左投手の方が得意です。

実は右利きの選手が左打ちに切り替える理由がもうひとつあります。それは元阪神タイガースの掛布雅之氏(現在日本テレビ解説者兼「探偵!ナイトスクープ」顧問)です。彼が左打者だったため、彼に憧れた野球少年が左打ちに転向したケースが結構見られ、彼らのうち何人かがプロ野球選手になったというのです。かわいらしい話ですね。

スイッチヒッターって?

また、スイッチヒッターという存在もあります。両打ち、ようするに右でも左でも打てる打者ということです。有名なところではNYメッツの松井稼頭央選手がそうです。ちなみに彼は最初は右打者だったのですが、右投手からまったく打てなかったことが、スイッチ(切り替え)のきっかけになったそうです。
スイッチヒッターは左右両方に体をひねるため、腰痛が少ないという話もあります。そのかわり、練習は通常の2倍です。他の選手が練習を終えてから、反対側のスイングで練習をするそうですよ。

ただ、利き腕と反対の腕で投げる投手(野手)というのは数が少ないようです。簡単ではないにせよ打つことはできても、投げる方はなかなか難しいようです。特に投手ともなると微妙なコントロールが要求されますので、相当器用でないと「スイッチッピッチャー」のようなことはできないのでしょうね。(かつてプロ野球選手でスイッチピッチャーがいましたが、実際に試合中に使い分けたことはなかったようです。うろ覚えなので正確なことは分かりませんが。)

◇おまけ◇
左投手のことを「サウスポー(southpaw)」と言いますが、語源について以下のサイトで簡単に説明されています。興味のある方はどうぞ。
「雑学の小部屋」
ホームページURL:http://www.union-net.or.jp/cu-cap/zatugaku.htm
“サウスポー”の説明:http://www.union-net.or.jp/cu-cap/southpaw.htm