ザビエル師の歯ぎしり | おバカな2人の二人三脚

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 ふたりで楽しいお気楽生活。 胸を張って前を向いて歩きましょ。

今日の内容には、あるお方の外見上の特徴に言及する部分がございます。
いろいろな意味で、気分を害される可能性がないとも言えないので、その折は申し訳ありませんがスルーしていただくようお願い致します。

それでは参ります。

   *   *   *

昨日、都内は南青山に出掛けました。 そこに本社を構える出版社の方との面談のためです。 とは言っても、就職活動ではありませんが。

自宅から先方までは、池上線-山手線-銀座線 と乗り継いで行きます。 打ち合わせは13時からだったので、自宅を出たのは12時ちょい過ぎ。

まずは池上線で五反田に向かいます。 真っ昼間ということもあり、車内は結構すいてます。
冬休み前で短縮授業なのでしょう。 中高生が目につきます。

席に余裕があったので、座って行くことにしました。

途中の雪谷大塚駅から、スーツにコートをまとったサラリーマンが乗ってきました。 そのお方、いっぱい座席が空いているのに、何故か僕の隣に座ります。

どこに座ろうと勝手ですから、まぁいいや…… と思った瞬間。




ん? なんかくさくねぇ?


うん○とか、そういう においじゃありません。

そのリーマン、酒臭いんですわ。 昼間っから。


ちなみに、僕はアルコールは一切NO! 飲めません。 であるからして、酒のにおいは敏感です。 嫌煙者がタバコのにおいに鋭いのと同じだと思います。
しかし、それを割り引いても、異常に臭い。 相当な深酒と思われます。
こんな時間に、どこでそんなに酒が飲めるんだぁ? 不思議です。

そのリーマン、座るなり 大口開けて居眠りを始めました。



 てめぇ、



とは言いません。 僕は立ってドア付近に非難しました。 視界から彼を消し去る必要があります。

はぁ……。
タメ息つきながら外の景色を眺めていると、突然


    


と、それはもう、壊れたバイオリンだってもっとマシな音がするぞ的なアブノーマルな音。
このままでは、乗客は奈落の底に突き落とされてしまいそうです。

叫び


もう、「ムンクの叫び」 どころの騒ぎじゃありません。


   何? この何さ?


あたりを見回すと……。

そう、さっきのリーマンです。 こいつ、いつの間にか 席が空いてるのをいいことに、上半身を倒して寝てる。


で、その音の正体は、


   歯ぎしり


電車の音に負けないくらい、それはもうヘビーな音量。
向かいの席に座っていた女子高生が、思わずハンカチで口を覆います。

わかるよ、その気持ち。

しっかし、何なんだ、こいつ。
よく見ると、歳は 20代の半ばか後半 と思われます。 顔のつくりがオヤジのそれとは違います。


しかし。 でも。 ところが。


頭頂部がキレーに禿げ上がっています。 いや~、お見事! というぐらい まん丸。
そう、まさにこんな感じです。
ザビエル


僕、まじまじと見入ってしまいました。 しばし歯ぎしりを忘れたほどです。


   フランシスコ・ザビエル

おそらく彼を見たほとんどの人が、歴史の教科書で目にしたザビエル師を思い描くに違いありません。 忘れかけていた記憶の再生です。

しかし、ザビエル師はカトリック教会の敬虔な宣教師です。
このような酔っ払い野郎の引き合いに出してはバチが当たる。


では……。 これならどうだ?
アルシンド


   ア    

うーーん。なかなかいい線いってるが、ハゲ方がちと違う
それにアルシンドだって、サポーターだけでなく日本国民から愛されたスターです。
やはり、こんなヤツの引き合いに出すのは失礼というもの。


では……。 では……。 他に誰かいないかなぁ。
いろいろ考えたんですが、先のふたりを越える者はおりません。

人で例えるのをやめれば…… いますいます。 これ!

かっぱ



そうこうしているうちに、終点の五反田に着きました。

予想されたことではありますが、歯ぎしり君は目を醒ましません。
相変わらず、奥歯はギシギシと軋んでいます。 勝手にしろよっ!


誰も起こしてあげません。 もちろん僕も。
そんな 寛容な気持ち になんかなれませんよ、誰も。


でも、こんな男ですが、もしかしたら、ザビエル師より偉大でアルシンドよりヒーローになるかもしれません。 人間の一生なんて…… わからんものですから。

いやいや待てよ。 こいつに限って、そんなことはねぇーな