1988年
太田は右の本格派。コントロールがよく、カーブ、スライダーもコーナーいっぱいに決める。スタミナも十分で、大きく崩れる心配はない。一年生からのエースで、マウンド経験も豊富。

「きょうはストレートに伸びがあったので、変化球は使わず、ストレートだけで勝負しました」10奪三振で九回を完封した後、冷静に試合を振り返る。「実際はカーブ、スライダーも得意だし、覚えたてのシュートも試してみたかったが初戦ぐらいストレートだけで抑え切らないといけないと思った」と強気な性格がのぞいた。小学生時代はソフトボール。中学一年生から野球を始めて以来、ポジションはずっと投手。「やはり打者を三振に打ち取った時が、一番気持ちいいですね」高校入学後も一年生の秋からエースの座に。以来約二年間、マウンドを守ってきた。高校生最後の大会に備え、肩の負担を考慮し、投げ込みは軽めに。短距離ダッシュを中心とした走り込みで、スタミナ作りに専念してきた。二回戦の相手は強豪・愛知「今度はストレートだけではいけないと思うけど、昨年の秋の大会で負けた相手なので、全力を出し切り、借りを返したい。ベスト4が目標」と闘志を燃やす。エースで四番打者と文字通りチームの大黒柱。その右腕が三河の浮沈のカギを握る。175㌢、70㌔、右投げ右打ち。

太田投手は速球派投手。交渉にあたった鈴木スカウトによると「変化球に頼らなくてもストレート1本で勝負できる投手」と指名した理由を説明している。