1990年
フタをあけてみればまさかのロックフォード。巨人関係者はだれも13日の投球を見ていない。一塁側でウォームアップをする新外人に対して今季初めてといっていいほど真剣な視線をナインは送った。「もちろん資料はなかったよ。だから試合前はとくに絞り球も指示してなかった」と松原コーチ。初モノに弱い、といわれるG打線の看板をおろさせたのはやっぱり主砲の原。2回先頭打者としてストレートを左中間スタンドへ運び、打線のギアはいきなりトップに入った。「直球とシュート球が多いね。来日したばかりで評価は降しにくいが、どうしても打ち崩せない相手ではない」(藤田監督)ことを証明する様に、岡崎、駒田、中尾のクリーンアップも集中打。藤田監督を喜ばせた。「あれでカーブがあれば嫌らしいけどね。ウチにいたカムストックの方が数段上だよ。」と原は左腕恐怖症なし、と言った。


ヤクルトの新外人・ロックフォード投手(27)が13日、神宮球場でピッチングを披露した。192㌢の長身ながら腕の振りはサイドに近く、威圧感はもう一つ。変化球は低めに集めるという通り、カーブ、スライダー、シンカー、チェンジアップの変化球を投げ込んだ。直球のスピードは135㌔前後だが、捕球した古田は「すべての球がクセ球ですね」野村監督は「予想した通り。カーブが鋭くなかったなあ」とポツリ。手が長いサウスポー、左打者には打ちづらいかもしれない。

バニスターに代わるヤクルトの新外人投手、マイケル・ロックフォード(27)は十二日夕、成田着の全日空機で来日し、同夜、神宮クラブハウスで記者会見した。大リーグ経験は通算8試合(1敗)と少ないが「できるだけ早く日本の野球に慣れたい。自分は力で押すタイプではないが、直球、カーブ、スライダー、チェンジアップの4種類の球を駆使して勝負する。投げろと言われれば明日にも投げる」と長旅の疲れも見せず、意欲的に抱負を語った。

解雇のバニスターの代わりに投手不足の救世主として招かれたロックフォードだが、異例の初見参となった。右のスリークォーターから変化球でかわすタイプ。一回こそ戸惑い気味の巨人を3人で抑えたが、二回には2連発を含む4連打を浴びてKO寸前。一発を喫してマウンドを降りた。