2002年
ブラジル留学生の一人、エース片山文男の短い夏が終わった。最後までこだわり続けたストレートは最速143キロをマーク。しかし、2本の本塁打を浴びるなど六回で降板。あこがれのマウンドはほろ苦かった。打者が一巡するまでは、すべてストレート勝負。ありえない配球とも思われるが「僕の武器ですから」と、後悔の言葉はなかった。四回からはスライダーなど変化球を織り交ぜた投球に切り替え、勝利への道を模索した。「両親も含め、みんなの応援に応えたかった」涙交じりの汗をぬぐい、声を振り絞った。

ヤクルトから6巡目で指名された日章学園高の片山文男投手(18)は30日、宮崎市内のホテルで同球団と仮契約を結んだ。すでに入団の意思を明らかにしていた片山は、丸山完二編成部長に球団の帽子をかぶせてもらい「うれしい。早くユニホームを着たくなった」と笑顔で話した。契約金3800万円、年棒460万円(いずれも推定)背番号は63。片山はブラジルのサンパウロ州アダマンティナ市出身。1年生から日章学園高に留学し、今夏の全国選手権大会にエースとして出場。本格派右腕で、直球は最速143キロをマークした。「頑張ってお金を稼いで、将来はブラジルにプロ野球選手を目指す子供たちのために「子供の家」(野球学校)を建てたい」と語り、契約金は全額両親にプレゼントする考え。丸山編成部長は「荒削りだが体に力がある。1、2年ですぐ(活躍)とはいかないが、長いスパンで育てる。打者に向ってどんどん投げ込むタイプの投手になってほしい」と期待を寄せた。12日の入団発表で、両親も交えて本契約を結ぶ。

ドラフト6巡目の片山は「早く1軍に上がって、巨人と対戦してみたい」ブラジル出身ながら、流ちょうな日本語で抱負を語った。担当の酒井スカウトが「すぐに150㌔を出せる能力がある投手」と高評価する逸材。対戦してみたい打者を問われると「カブレラ(西武)です」一度も笑顔がのぞかないほど緊張していたが、若松監督は「目つきがいいね。早くプロの体をつくって、はい上がってきてほしい」と期待していた。

2003年

中学時代、日系企業の奨学生となり、その関係で来日。昨年、日本国籍を取得。大きなフォームから投げ下ろす148キロの速球で母校を甲子園初出場に導いた。初戦で興誠高(静岡)に6回6失点も、自ら4安打を放った。

2004年

肩痛で昨年はリハビリに終始したが、02年夏の甲子園最速の148キロをマークした逸材。上半身が強く腕の振りが速い。持ち球はフォークとカーブ。