1976年

 

クラウンが二巡目に指名した立命大の徳山文宗外野手は、京都市上賀茂にある同大野球部合宿でくつろいでいた。クラウン指名の報を入れると「えっ、ほんとうですか?知りませんでした」クラウンという九州のチームに指名されたことが意外だったようだ。しばらく沈黙したあと「ライオンズは考えていませんでした。もちろん事前に打診はありましたが・・・」大学時代の本塁打は4本と決して長打者ではないが、つねに三、四番を打ちコンスタントに三割台をマークしていた自分のバッティングを「在阪球団でためしたかった」というのが本音だ。「でも、プロでやる気はありますよ。不安はありますが、入れば努力したい。しなきゃいけないでしょう」「今後、クラウンに入団するかどうかは両親、知人に相談してからにしたい」というが、条件しだいではクラウン入りがすんなり決まりそうだ。

 

クラウンがドラフト二位で指名していた徳山文宗外野手(22)=身長179㌢、体重70㌔、左投げ、左打ち、立命大=の入団が決まった。クラウンの浦田チーフスカウトと青木渉外相当重役は十五日午後五時半から大阪市北区堂島三丁目のグリル・セレクトで本人に兄・哲男さん(31)同大学の中尾監督、木下コーチをまじえて交渉を行なった結果、契約金二千万円、年棒二百四十万円(いずれも推定)で了解点に達した。なお、正式入団発表は年内に行われる予定。徳山がクラウンに入団する際の唯一の渉外は就職が内定していた河合楽器を説得することだったが、この日午前十時に本人が浜松市内の河合楽器を訪れ、同社にクラウン入団の了解を得たため問題はなくなった。青木重役は「十五日までに会社に了解を得ておいてくれと言っていたのだが、こちらの希望通りになった」と喜んだ。浦田スカウトも「本人と会うのは二度目だが、初めての条件提示を一発で受けてくれた」と順調に事が運んだことに満足していた。「いい選手になる。将来一、二番を打てる打者になる」と浦田スカウトがほれこむ徳山は、関西六大学で3シーズン連続ベストナインに選ばれるなど実力は十分。プロ入り後の課題はバッティングといわれるが、三年の春には一試合七打点を記録したこともある。外野を補強したいクラウンとしては足、守備共に一軍の選手並みの力を持っているので願ってもない人材だ。徳山本人はやや緊張気味に「プロに入ってもやれる自信はあります。目標は左の王選手です」と、でっかい抱負を語った。