1998年

 

クロフォードは練習中、笑顔を絶やさない。声をかければ、帽子を取ってだれにでもペコリ、と頭を下げる。人柄の良さはピカ一だ。昨年オフの新外国人探し。ロッテは昨年、いろいろと問題を起こしたキャリオンに対しての反省もあり、実績はもちろんだが、それ以上に「やる気のある性格のいい選手」を重要視した。そして、獲得が決まったのが左腕・クロフォードだった。昨年は大リーグ・メッツでバレンタイン監督の下、7年目にして初めて、メジャー昇格。4勝を挙げた。左腕不足に悩むチームは先発ローテーション入りを期待。その期待通り、4月5日の開幕2戦目の対近鉄(大阪ドーム)、打線の援護なく、黒星デビューとなったものの、8回を投げ切って4安打2失点の好投を見せた。ストレートは140㌔そこそこ。だが、スライダー、チェンジアップなど多彩な変化球を武器に、緩急で勝負するのがクロフォードの持ち味だ。ところで、オープン戦中にこんな出来事があった。試合中左足がつってしまうアクシデントに見舞われたクロフォードは、首脳陣から「下半身がしっかりしていないからだ」と強制的に千葉マリン裏の浜辺の1時間ランニングを課せられたのだ。しかし、文句ひとつ言わず、1日おきに黙々と走り続け、首脳陣をびっくりさせた。「僕はコーチがやれと言ったことは何でもする。それがチームの勝利に結びつけばうれしいからね」とクロフォードは笑顔で話す。その左腕が日本にやって来て、ハマってしまったのが神戸牛。オープン戦の神戸遠征中に、近藤監督、ブランコ、キャリオンらと一緒に食べたステーキの味が忘れられなくなってしまったと言う。「あんなうまいもの、初めて食べたよ。夢にも出てくるくらいなんだ。早く神戸に行きたい」ステーキな有名なアメリカで生まれ育った男が話すのだから、面白い。また今、野球のほかにトレーニングを積んでいるのが、はしの使い方だ。日本に来た当初は、うどんを食べるのもすべて、手づかみだったが、最近「やっと人並みに使えるようになった」と喜んでいる。プライベートでは、カラ夫人が6月に第一子を出産予定で、2世誕生を心待ちにしているクロフォード。「日本の生活は僕に合っているみたいだ」ヒルマン(現巨人)がロッテ時代に背負っていた背番号「42」を着けた男が、チーム3本目の先発の柱として、フル回転する。