昨日、今日と、お江戸地方は春本番を思わせる気候に、桜の開花も例年並みになりそうな感じですね。楽しみだ~(*^▽^*)
昨夜は、歌舞伎座で「鳳凰祭三月大歌舞伎夜の部」を観劇。
『加賀鳶』
『勧進帳』
『日本振袖始』
こちらの三演目が上演されました。
高麗屋の道玄、播磨屋の弁慶、大和屋の八岐大蛇に注目が集まった夜の部。勿論おいらもそれらを楽しみに行きましたよ。(しかし先にチケットが売り切れたのは昼の部)
しかしそんな大物幹部俳優の脇で、いい味を出してるベテラン俳優二人に感心してしまいました。
一人は、中村歌女之丞さん(S30年生まれ)
もう一人は、實川延朗さん(S17年生まれ)
どちらも『加賀鳶』に出演してました。嬉しい配役ですね。
延朗さんは、現在唯一の河内屋さん。三世延若さんのお弟子さんですね。
歌女之丞さんは、六世歌右衛門のお弟子さんです。
延朗さん演じる百姓太次右衛門は、夜の御茶ノ水で主役の高麗屋と対する重要な役目。その後高砂屋も加わる物語のあやとなる部分です。
朴訥な田舎百姓を見事な姿勢と台詞で演じ、河内屋ここに有り!!と、十分に存在感を示してくれました。これぞ名脇役!!って感じです。
そしてそして、歌女之丞さんの女房おせつ役。
いやぁ~、これは大抜擢ですね
当代のおせつ役ですと、門之助さんや、東蔵さんが当たり役にしてますが、初役で見事に道玄女房を演じました。(幹部俳優以外って初見でした)
憎々しい道玄に、なじられいじめられ・・・それでもお朝を案ずるその姿、高麗屋や秀太郎さんを前にして堂々たる演技でした。
わびしさと、それでも女房である悲しさをベテランは、縛られ土間に放られる姿など丁寧に演じ見事に高麗屋の憎たらしさを引き立てました。
(幕間に思わず歌女之丞の舞台生写真を購入!!よくぞ販売してくれた歌舞伎座!!)
歌舞伎って、このように大物俳優だけでなく脇があってこそ舞台が引き締まるんですよね。
今回は特にそれを感じさせました。
抜擢してくれた高麗屋さんに感謝ですね。
もう一人・・・
脇と言うとちょいと違いますが・・・
『勧進帳』で弁慶の後見(正式には出後見。松羽目物で裃を纏った際は出後見)をこなした、種之助君!!
難しいんですよね・・・弁慶の後見は。
そのタイミングと、すれすれの際どさが必要で。
弁慶に数珠を渡す、その後振りかざした数珠を受け取る。ここは本当に難しく、距離感も大切ですし、以前はその数珠で後見が顔をザックリ斬ってしまった事も有る位難しい後見役です。
種之助君はそれを難なくこなしてました。
最後に、まさかまさかの東蔵さんの常陸坊
歌六さんの亀井六郎、共に意外な初役でしたが、流石のお二人。
初役を感じさせない安定感でした。(凄いね~)
終演は午後9:00
歌舞伎座を出ると上空に綺麗な満月が。
こちらも見事に澄んだ空気の中輝いていました。
心が豊かになった昨夜の公演でした。