気・血・水から体質を知ろう!その第1回目。今月のセミナーでは「気」の養生をテーマにお話を進めて参りました。

 
 気になる、気が散る、気が合わない…。我々が日常、何気なく使う「気」という言葉。気功や武術、そして時にスピリチュアルな世界等においても「気」は度々登場します。

 

 

目には映らず、とらえ処のない、この「気」ですが、古来「病は気から」の一節にあるよう、こと漢方の世界でも重要視されてきました。

 

「気のせい」のような、フィーリング的なものではなく、漢方・中医学の世界では、推動(すいどう)、温煦(おんく)、防衛(ぼうえい)…等、気はより具体的な作用を有し、内臓諸器官の活動を支える、生命エネルギーにも喩えられます。

 

 

 

ここで一つ誤解を招かぬために、中医学でいう「気」とは、ごく一部の特別な能力を備えた人、また厳しい鍛錬を積んだ者でしか認識できない世界観ではありません。

 

我々にとって生命維持に欠かせない飲食や呼吸を介し、「気」は絶えず体内で生み出され、そして循環します。その「気」の概念は、我々が一定の知識を習得する過程で、頭と体で自然と理解出来るようになるものです。

 

 ほんの一例にすぎませんが、日常生活の中で、食べ過ぎでお腹が張ったときは、脾胃の気(消化器系)の滞りと考えます。また、花粉症や感冒の背景には、肺の衛気(呼吸器系や皮膚や粘膜の抵抗力)の虚(機能低下)があります。そして、生理前の女性に多い側頭部の頭痛やイライラ、胸や脇腹の張り等は、肝の気の停滞と理解します。

 

 

 

足りない気を補うには補気薬を。そして滞ったした気を流すには理気薬を用います。漢方薬の活用や、養生実践の中で、自身の体内を過不足なく流れ続ける「気」とはこのようなものかと、おぼろげながらその存在に気付き始めます。

 

非科学的と言ってしまえばそれまでですが、この「気」の概念を体得し、発想を受け入れられるか否かが、暮らしに活かす中医学習得の最初の登竜門のような気がします。

 

さて、日増しに涼しく、いよいよ食欲の秋到来です。秋の味覚を堪能するも、そろそろ体重増加が気になりだす方も多いのでは? そこで、今回のセミナーの最後に、代謝を促す補気薬の一つ、マメ科の黄耆(おうぎ)が主薬の漢方薬を煎じ、生徒の皆様に試飲頂きました。(ちなみにお尻から下肢にかけてお肉の付きやすい、いわゆる「気虚太り」の人にお勧めです。)

 

来月は気・血・水から体質を知ろう!その第2回目。「血(けつ)の養生」についてです。どうぞお楽しみに!