良かったですっ!!(^O^)/
これはとっても観る価値有る作品だと思いました。
何が良かったかって、出演者全員の押し殺したような演技、演出、全体の雰囲気。
ぶつけようのない怒りやもどかしさを、抑えてかみ殺して、内から滲み出すような演技で静かに進めている作品。
あの国、と表現されてますが、単なる体制批判や、帰国事業批判などではなく、それを題材に普遍的な理不尽さを身近な家族の出来事にうまく投影させ、それに対しての反応の描き方が秀逸だったように感じました。
あらすじ
日本に住むリエ(安藤サクラ)と帰国事業で北朝鮮へ帰った兄ソンホ(井浦新)。離れて暮らして25年が経ち、ソンホが病気の治療のために日本に帰国することになった。期間は3か月。家族や仲間はソンホとの再会を喜ぶ一方、担当医には3か月では治療は不可能と告げられる。しかし、滞在延長を申請しようとした矢先、本国から「明日帰国するよう」と命令が下り……。
井浦新さんって、初めて知ったのはNHKの「チェイス」でした。
この時はまだ「ARATA」さんだったんですよね。
なんとなくそれから気になって先日の「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」も観に行ったんですが、正直自分的にはイマイチでした(^_^;)
でも! 「かぞくのくに」は違いました!
戸惑い、思わず感情を出し、押し殺し、正直な気持ちを不器用に表現し、など。
「あの国」から感じる、または「あの国」の人々が感じているかもしれない気持ちと、それを表現出来ない抑圧された様子が上手く出ていたように感じました。
妹も母親も、監視役も、父親も、その他出演する全ての人が同じように。
例えば、妹が監視役に文句を言いに行き、車が去った後、行ったり来たりしながら泣くシーンに象徴されているように思ったんですが「大声でなきわめく」わけでもなく、「シャッターをぶん殴ったり」するわけでもなく、ただ握り締めた拳で自分の膝を叩きながら行ったり来たり。
うーん、分かる、その気持ち。
マイクを持っていって 「何か一言お願いします!」 なんて言おうものなら怒涛の如く溢れ出て来そうなんだけど、その手前で止めている、そんな感じの演技で統一されていたように思います。
まぁ、ぶっちゃけ、かねてよりあの国とあの国とあの国に対して感じている理不尽さというものが有るんですが、ぶつけるところとか、ぶつけるやり方がわからず悶々としている、という気持ちもあります。
後半に「思考停止」とか「どう生き抜くか」と話すシーンが有りますが、生活の全てではないにしろ、そのように考えて処理しなければならない場面は誰しも有るのではないかと思います。
単に「あの国の人達のお話」とかではなく、こういった理不尽さに従うしかないことって有るよね、と思いながらすごく入ってきました。
音楽も終始メチャクチャ盛り上がったり、というわけでは無く、演技同様、抑え気味な雰囲気で全体統一されていてトータルなバランスも綺麗な作品だと思いました。
後で調べて知ったんですが奥田瑛二さんの娘さんだったんですねf^_^;
彼女でなければ違う雰囲気の作品になっていたんではないか、というくらいハマっていたように感じました。
そして、宮崎美子さんも。
とにかく今の自分に出来る精一杯のことを息子の為にやるんだ!
ただそれだけの事なんですが母親の愛情の凄さをまじまじと感じさせられました。
ブタさんのシーンももちろんですが、車を見送るシーンで画面の端っこに写った!と思ったらすごい顔で、満面の泣き顔。。。
やられました。。。・゜゜・(/□\*)・゜゜・
単に「地上の楽園への帰国話」だけでなく、いろいろ感じるところ多く、ほんとに観て良かった作品でした。
ありがとうございます!(^O^)
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