薬を塗っても 治らない原因は 何を考えるべきか? | ひふみのへや ~narimasu-hifuka~皮膚科専門医の備忘録〜

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皮膚科専門医(皮膚診=ひふみ)です。日々の診療で患者さんたちから学んだこと、主に「肌」・「皮膚」(ときどき「推し」)をテーマに綴ります。溢れる情報に溺れそうな時代ゆえ、信頼性の高いサイトも紹介します。
必要に応じ加筆/訂正することがあります。

ドラッグストアで購入可能な市販薬

医療機関から処方される薬

 

いずれの場合も起こりうる

患者さんの悩み

 

「薬を塗っても治らないんです…」

 

ちゃんと塗っているのに

全然変わらない

治らない

むしろひどくなっている?

 

そんなはずはない!

と思い込むと

深い落とし穴に

はまりかねません

 

落ち着いて ひとつひとつ

理由を考えてみましょう

 

①診断がまちがっている

 

 症状にもよりますが

 一般的な皮膚炎であれば

 適切な薬を使った場合3~4日程度でかなり

 改善することが多いです。

 

 ニキビも炎症が強いものであれば同じぐらい、

 ニキビのできかた全体で考えると

 早い人では 2~3週間ほどで

 効果が実感できてくることでしょう。

 

 いずれの薬も最初の3日および1週間後の

 様子が肝心です。

 症状が変わらない・悪化している場合は

 薬を処方された医療機関を

 再度受診したほうが安心です。

 

 塗っている間に皮疹が増えることも

 珍しくないのですが

 塗ったところが治っている場合は

 あまり心配はいりません。

 

②いろいろな薬を片っ端塗っては変更する?

 

 探求心旺盛な患者さんあるある

 

 手元にある薬を 

 

 1回塗って変わらない

 ➤では次 1回塗って・・・

 ➤やっぱり変わらないので じゃあこっち

 ➤やっぱり・・・以下略

 

 塗り薬を塗る上で1回塗ってすっきり改善する

 ことは…まあ あるけれど、

 あるけれども!

 

 このような塗り方の場合

 薬の効果の 有る・無し

 を評価不能です。

 

②塗る回数・タイミングが???

 

 1日1回~数回 塗るよう

 指示されていることが

 多いと思いますが

 

 痒みが強いとき

 これをはるか上回る回数 塗る方が

 ときどき おられます

 

 お薬の内容によっては

 塗った部位を

 化膿させたり

 かぶれさせたりすることも

 あり得ますので ご注意ください。 

 

③塗る量

 

 塗らない・使わない薬は

 効果を発揮しようがありません。

 

 患部に ”適量” を塗る

 ことが重要です。

 

④「独自の工夫」による 悪化

 

 患部を清潔にしたいあまり

 薬を塗る直前に消毒薬を使う

 

 患部に薬の効果を増したいあまり

 ネットでみたサランラップを巻いてみる

 

 …いずれも患者さん独自の判断とこだわりで

 かえって症状が悪化したり

 もとの症状が分かりにくくなったり

 することがあります。

 

 やみくもに調味料を使って味をつければ

 訳の分からない料理になってしまうのと

 似ています。

 

⑤塗る薬が間違っているかも?

 

 足のムズムズした痒みジクジク=水虫

 と判断し

 薬を塗ってかぶれる

 

 みずむし?あるあるです。

 こんなときはまず

 かぶれの治療が最優先です。

 広範囲にかぶれた場合

 かぶれの症状もろとも水虫が一掃される?!

 こともある…かも?!

 

・・・ざっと並べましたが

他にもいろんなケースがございますので

「塗っているのに 治らない!」

ときは

お近くの皮膚科へお早めの受診を

お願い申し上げます。