その いちご状血管腫、治療が必要か? | ひふみのへや ~narimasu-hifuka~皮膚科専門医の葛藤雑記帳〜

ひふみのへや ~narimasu-hifuka~皮膚科専門医の葛藤雑記帳〜

皮膚科専門医(皮膚診=ひふみ)です。日々の診療で患者さんたちから学んだこと、主に「肌」・「皮膚」(ときどき「推し」)をテーマに綴ります。溢れる情報に溺れそうな時代ゆえ、信頼性の高いサイトも紹介します。
必要に応じ加筆/訂正することがあります。

昨日1月15日は

いちごの日

でした

 

 

いちご状血管腫

(いちごーじょうーけっかんしゅ)

という

良性のおできがあります。

 

1歳未満の100人に1人ぐらいにみられ

生まれてしばらく(1~2週間後~)

なんとなく赤いな…

と思いながら様子をみていると

次第にモリモリ隆起し

”いちごを半分に切って置いたようなような”

という表現で記載されることが多い

ネットでしらべると どうやら

「いちご状血管腫」らしい…

ということで

医療機関を受診する方が

ほとんど。

 

半年ほどで大きさは変わらなくなり

数年かけて小さくなり

色はほとんど目立たなくなり

わずかにクシュっとした痕を残す

・・・

という感じ。

 

余談ですが

「いちご状血管腫」と言えば

私が医師国家試験の勉強をしていた

約25年前の教科書(試験対策テキスト)

には

基本的な治療方針

待つ&様子見る

自然に消えるのを待ちましょう

でした。

 

では現在は?

 

「いちご状血管腫」

という病名自体に変化が!

 

国際分類に準じて

「乳児血管腫」

という呼び名が

今後は一般化されるらしい…

(いちご…結構好きだったんだけど…)

 

治療方針は?

 

①血管腫のある場所

②機能面

について考慮して決めます。

 

例えば

瞼にできて目玉を圧迫したら。

唇にできて見た目が…。

などの場合は

 

積極的な治療

として

レーザー治療

安定した効果がありますし、

 

2016年7月には

プロプラノロール

(不整脈・高血圧などの治療にも使われる)

内服による治療

ヘマンジオル®シロップ

(”バニラいちご味”)

も承認されました。

血圧、心拍数、呼吸の状態や血糖値に

関する副作用の報告があるため

信頼できる医療機関での治療が

おすすめです。

 

個人的には

目立つ場所や

機能的に問題生じる可能性の高い

場所以外にできた

いちご状血管腫=乳児血管腫

待って+様子を見る

だけでも十分ではないかと

思います。