みずむし=白癬(はくせん)① | ひふみのへや ~narimasu-hifuka~皮膚科専門医の葛藤雑記帳〜

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皮膚科専門医(皮膚診=ひふみ)です。日々の診療で患者さんたちから学んだこと、主に「肌」・「皮膚」(ときどき「推し」)をテーマに綴ります。溢れる情報に溺れそうな時代ゆえ、信頼性の高いサイトも紹介します。
必要に応じ加筆/訂正することがあります。

 

みずむし=白癬(はくせん)

 

ご存じの通り、「水虫(みずむし)」

とは言うものの

原因は“虫”ではありません!

 

「白癬菌(はくせんきん)」という

真菌(かびのなかま)

手、足の皮膚の「角質」(肌の一番外側)や、

手足の爪、髪などに感染する皮膚病です。

基本的にはヒト専用(?)の

かびが ヒトの肌に 症状を作ることが多いですが、

大切な家族の一員の 犬 や 猫 などの

ペット動物と同じ真菌に感染することもあるので

注意が必要です。

 

鉛筆真菌と細菌、ウイルスとの違いがわかりやすいです

 

 

鉛筆20年以上前の論文です。表現がやや専門的なのですが、オススメ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmm1990/40/1/40_1_9/_pdf

 

代表的な症状を挙げてみます;

薄く皮がむける

小さな水くぶれ

趾の間が白くふやける

踵では白くカサカサ乾燥

 

皮むけ(どちらかというとカサカサ)

小さな水ぶくれ

指の間がふやける(薬指を中心に)

 

足の爪に多い

爪が白く濁り、厚く、脆くなる

 

股、鼠経(下肢の付け根)

赤みがある

外側に広がるように皮がむける

小型の水ぶくれ、膿疱(水疱の中身が”膿”)

 

からだ(肩 背中 胸)

乾いたタイプの“湿疹”との

区別が必要ですが、

 

 

意外なことに!

かゆみはそれほどないことも多く、

「かゆみがないから水虫ではない」

…という判断は早計ですし、

かゆみがあるから 水虫である

という訳ではありません。

 

鉛筆水虫が疑われる場所から

  少々皮膚をこすり取り、

  顕微鏡で菌の姿を確認し、

  それぞれの症状に合った薬(抗真菌薬)

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