黒なまず=でんぷう(癜風) | ひふみのへや ~narimasu-hifuka~皮膚科専門医の備忘録〜

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皮膚科専門医(皮膚診=ひふみ)です。日々の診療で患者さんたちから学んだこと、主に「肌」・「皮膚」(ときどき「推し」)をテーマに綴ります。溢れる情報に溺れそうな時代ゆえ、信頼性の高いサイトも紹介します。
必要に応じ加筆/訂正することがあります。

 

黒なまず=癜風(でんぷう)

 

じつは、私たちの皮膚はたくさんの菌によって守られています。

菌たちは秩序を保ちながら共存していますが、

なにかのきっかけで

一部の菌が一時的に増えすぎて

皮膚トラブルをおこすことがあります。

 

そんな菌のひとつであるマラセチア

ヒト肌(36~7度)、高湿度、脂質が大好物です。

真菌(カビ)の仲間で、夏場にその存在をアピール

します。

背中中央、などの

オイリーのたまりやすい部位

淡い茶色の斑点が合わられます。

これが 黒色癜風(くろなまず)。

あんまりかゆくない(ことが多い)。

斑点の表面はよくみると毛羽立っていて

こすると フワフワした粉状に剥がれてきます。

この粉を 顕微鏡で観察すると

マラセチアが 確認できます。

 

清潔、制汗、抗真菌薬の塗り薬で治療します。

肌質や 発汗環境により 症状を繰り返す人もいます。

 

そういえば、この間見かけたマラセチアは

“また 来年〜〜!”…って、言ってました。

(ホントか?)

 

鉛筆『癜(でん)』『なまず』とも読みます。

 皮膚病の一種。糸状の細菌(筆者注:真菌)が寄生して、

 胸や背中などに茶色や灰白色などのまだらができるもの。

 しろなまず・くろなまずの類。  (日本国語大辞典)

 

 淡水魚の なまずの模様に似ているから…

 という説明・解説は なぜか 見当たらない…。

 結構似ているのに。

 

 上矢印鯰(なまず)だけど 癜(なまず)ではない。 

 

!色の抜けた斑点がでる癜風=白色癜風 

 …なのですが しろなまずではありません!

(しろなまず(白癜)=尋常性白斑のこと。

 ぜんぜん真菌と関係ない。 ややこしい…!)