思い出した 母の手 手荒れ・手湿疹 ①  | ひふみのへや ~narimasu-hifuka~皮膚科専門医の備忘録〜

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皮膚科専門医(皮膚診=ひふみ)です。日々の診療で患者さんたちから学んだこと、主に「肌」・「皮膚」(ときどき「推し」)をテーマに綴ります。溢れる情報に溺れそうな時代ゆえ、信頼性の高いサイトも紹介します。
必要に応じ加筆/訂正することがあります。

 

思い出した!母の手荒れ・手湿疹

 

 

手荒れ

 

10月終りから徐々に 空気が乾き 気温もぐんと下がるこの季節

 

手(指先、手のひら、手の甲)

カサカサ、ガサガサ、ザラザラ、バリバリし、

さらに進むと 赤く痒みが出たり、 

ひび割れができたりする 症状。

 

昔ばなしを、ひとつ…

 

今から40年近く前

多くの食品店やスーパーマーケットが夜6~7時には閉店し

コンビニエンスストアがまだ珍しかった時代。

当時30代の母が 手荒れ+手湿疹が悪化し、

総合病院の皮膚科を受診し、落ち込んで帰ってきました。

 

当時の母の手を 私は今でも思い出せますが、

手のひらは乾燥が進みすぎて握る動作にも支障が出るほど。

指先や手のひらに あかぎれ が点在し、

爪のまわりも乾燥しておりました。

 

数種類の軟膏(おそらくステロイド+ワセリン混合軟膏、

イクタモール入り亜鉛華単軟膏、ステロイドのテープ剤)

をもらってきたと記憶しています)がごっそり

入った薬袋を持ちかえっておりました。

 

その皮膚科医(当時40代男性)は

「そんなに手が荒れるんだったら、

 毎日 店屋物でもとればいいじゃない?」

と言ったそうな。

出前館も Uber Eatsもない時代に。無理じゃん!

 

現実的でない提案に 母は驚きを隠せず、

でも ひたすら真面目に薬を塗っておりました

 

塗っても塗っても、家事に追われているので

一進一退を繰り返し 

(正確に言うと 一向に改善する気配はなく)

でも私もそんな母をみて 

お手伝いをするような子ではなかったので、

(お母さん、ごめんね)

母の手荒れはその後10年以上治りませんでした!

 

…そうなんです。

10年以上経ち、

家事(&育児)から解放されたら

手荒れは改善したのです。

私が大学生になり、久々に実家に帰った時に

手荒れ・手湿疹がほとんど目立たない

母の手を見た時の 驚き は 

今でも忘れません。

 

手荒れ・手湿疹には 必ず原因がありますので、

その原因を取り除けることができれば 

必ず良くなるのです!あきらめないで。