8月2日。
ほんとは…昨日を残したかった。
でも、形にするのは苦手だから、
大事な日は、心にのみ記憶を残す。
相変わらずなアタシ。
みんな、夏の暑さを鬱陶しがるけど、
アタシは、妙に切なくてすき。
遠い昔に置き忘れた記憶が、
チラチラと太陽の光りに反射して、
目の前を通り過ぎる。
蝉の声や、水の煌めき、
学校前を通り掛かった時の、塩素の匂い。
たまに吹く、心地好い風。
咽せるような緑。
入道雲。
胸を締め付ける。
君の顔はもう朧げなのに、
後ろ姿は覚えてる。
微かに耳に残る声。
グラウンドを走ってた君は、
今なにをしてるの?
元気でいますか?
会えない距離じゃないんだけど、
会わない。
会えない…。
若かりし頃、
“ずっと忘れない”
なんて…言ったっけ…
ゆんじゃなかったよ…
あれから10年。
前言撤回できない言葉は、
未だにアタシを悩ませる。
もう二度とない、
あんなに好きになること。
いいかげん君の面影が、夏の暑さで溶ければいいのにと、
身体に染み渡る想いと氷を、
噛んでみた。
喉を通る想いの儚さに、涙がこぼれた。