アニメ好きなら知らない人はいないだろう
京都アニメーション(京アニ)。
「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」、「けいおん!」など
他にも多くのアニメを制作しており、
アニメに詳しくない人でも聞いたことはあるでしょう。
僕はにわかで、京アニの一部の作品を見ているくらいです。
そんなアニメーション制作会社が狂気に巻き込まれた。
2019年7月に青葉真司被告(当時41歳)が京アニのスタジオを訪れ、
ガソリンをまき散らし、火を放った。
火は瞬く間に広がり、建物の構造も悪い方へ影響した。
京アニスタッフ、36人もの方が亡くなり、他32人の方へ重軽傷を負わる大事件が起きた。
本書はその凄惨な事件を追ったルポタージュ。
なぜ本書を購入してまで読んだのか。
許せなかった
のだと思う。
上の本の写真にあるように戦後最悪の事件だから、
テレビのニュースで断片的に報道され、
事件の輪郭はおぼろげに知っている。
アニメーション制作会社と言う見る人に夢を与える組織の人たちが
なぜ夢を奪われなくてはならないのか。
被害に遭った方々はもっと描きたいものがあったのだ。
僕が事件、裁判に関与できることはない。
事件のこと、裁判のことを少しでも知ることで
義憤を晴らせるのではないかとページをめくった。
本書の構成としては、
①事件当日と青葉被告の生い立ち
②裁判経緯。遺族、被害者の証言
③事件を社会はどうとらえるべきか
と言う基本に忠実な内容だった。
このような事件を起こす犯罪者に共通するのは
社会的な孤立
青葉被告も氷河期世代で仕事がなく、
友人関係もほとんどなかったようだ。
2008年に秋葉原通り魔事件を起こした加藤智大死刑囚も
2022年に安倍元首相を銃撃した山上被告も社会的に孤立していた。
加藤智大死刑囚に関する記事↓
執行された秋葉原事件・加藤智大死刑囚が残していた最期の言葉と「死刑囚表現展」
ずいぶんボリュームがある。
人の命を奪っておいて自分の人権を尊重してほしいと言う部分があり、
何言ってんだかと呆れてしまった。
社会的孤立
孤立をしたことがない限り、
この境遇がどのようなものかわからないと思う。
僕も幸いなったことはないけれど、
自転車一人旅している時の野宿で、強烈な寂しさに襲われたことがある。
それが毎日起きてしまうようなものなら、
精神的におかしくなってしまうことも想像はつく。
それでも相談する人がいない。
いや、青葉被告は相談する人がいた。
生活保護を受けながら精神科に通い、
訪問看護師とコミュニケーションをとっていたが、
自暴自棄になってしまったか自ら看護を断ってしまった。
社会的孤立に陥ってしまう人には、
差し伸べられた手を振り払ってしまうことがあるようだ。
話は少しそれてしまうのだが、
X(旧ツイッター)で流れてきた内容で、
「妹が自殺してしまった。生前、妹のためにコメントしてくれてありがとう」
と言う重い話がふわりと表示された。
辿ってみると、妹のXアカウントを姉が代わりにコメントしている内容だったが、
妹が生きている間は当然妹が投稿しており、
友人とも仲違いをしてしまい、独りになったと書いていた。
ある年の年末だったか妹が
「がんばれ私。がんばれ私」
と書いた数日後の年明けに
上に書いた姉の投稿が続いたのだった。
その後の姉の投稿を見ると、
姉本人も当然、仲違いをした友人も妹を救うために手を尽くした。
でも、妹はことごとく振り払った。
繰り返される拒絶に虚しくなり、疲れてきってしまったと書かれていた。
青葉被告を訪問していた看護師も、
訪問したら妄想に駆られた被告から包丁を突き付けられたそうだ。
この状態で看護を続けるのは難しいと思う。
入院するレベルだったのではないか?
精神科医は入院の必要はないと判断したそうだが。
本書には青葉被告の生い立ちも綴られている。
それを読むと虐げられてきた半生があった。
就職氷河期世代。
日本経済が不況になり、思うような職業に就くことができず
生きにくい世代としてよく使われる言葉だ。
僕も氷河期世代の最後の方なのだけど、
2年下くらいから人手不足を理由に就職率が上がっていた。
学校を卒業して、非正規雇用でずっと働いている人たちは
「なんでおれ(わたし)ばっか」と思うことも多かっただろうし、
その苦しみは今でも続いている。
氷河期世代真っ只中だった人々が50代になって、
今更どうにかしなきゃ!なんて言われているけど、
おせーよ!
定年が60歳、65歳なのだから今から50代を正社員雇用する
企業なんてほとんどないだろう。
非正規でも働けるうちはまだ何とかなるけど、
働けなくなったら。。。
これも今後の社会問題になってしまう可能性がある。
また話がそれてしまったけど、
不遇な生い立ちであった青葉被告。
だからと言って、
殺人を犯してもしょうがないとはならない。
合計で68名の死傷者が出てしまった事件。
遺族を含めて、どれ程の人の人生を変えた、奪ったのか。
不幸な境遇な人が、その境遇を盾に人を切る。
奪われたから奪う。まさに餓鬼道だ。
奪う
奪われる
だから奪う
この負の輪廻を抜け出すために必要な考え方が
京アニの作品にあったのだった。
そこまでもう少しお付き合いください。
