お立ち寄りありがとうございますニコニコ

 

 

昨夜の地震には驚きました。 揺れてる最中にスマホが「地震です」と何度も言うから

 

「分ってる!今揺れてるやん!」とツッコミを入れたくなりました^^; 不安が増すわ。

 

幸いに、全く被害は在りませんでした。

 

 

さて、吉村先生の「破船」読みました。

内容紹介(アマゾンより)

 

二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。しかし、積荷はほとんどなく、中の者たちはすべて死に絶えていた。骸が着けていた揃いの赤い服を分配後まもなく、村を恐ろしい出来事が襲う……。嵐の夜、浜で火を焚き、近づく船を坐礁させ、その積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に伝わる、サバイバルのための異様な風習“お船様"が招いた、悪夢のような災厄を描く、異色の長編小説。

 

 

貧しい漁村の様子に、昔の人達の苦労を偲びながら読みました。

 

その赤貧振りが想像を絶します。一年中食べ物の事を考えて、一日中働きづめです。

 

漁村といっても網など在りませんから、サンマなんて小舟から手を出して掴むんです。

 

主人公の伊作が9歳から始まり、11歳で物語は終わります。

 

内容紹介でも書かれてますが、貧しい村に難破船が来ると一挙に食べ物や蝋燭、

 

衣類が手に入ります。村人は塩を作る火を夜に燃やして、船が方向を間違えて座礁するのを

 

待ってるんです。 そうでもしなければ、男は人足、娘も売りに出されます。

 

伊作の父さんが3年の奉公に出ている間、母親と幼い弟妹を食べさせるために

 

懸命に働く姿がいじらしいんです。母親がきつい人なんだけど、夫不在で幼子を育てる

 

からしようがないかな・・・ 

 

貧しいけれど、座礁して得たお米は長の所へ集められて、頭数にきちんと各家庭に

 

配布されます。 伊作が幼いとき熱を出した時、初めて薬として舐めた砂糖の甘さ!

 

難破船でも、藩船の場合は盗んだら磔(はりつけ)になります。

 

商船でも、生き残りが居たら殺してしまいます。戦利品を獲たことを他の村に知れたら

 

恐ろしいことになりますからね・・・ 村長(むらおさ)の言うことを守って縮こまって

 

暮らす漁民達。 

 

 

驚いたのは9歳そこらの伊作が村の娘を女として意識していることです。

 

精神年齢もぐっと高いんですね。

 

そういえば小泉八雲の「日本の面影」である漁村では皆が皆、顔がブサイクだったと

 

珍しく辛口でしたっけ・・・隔絶されてるからなぁ  (日本の面影の感想コチラ

 

そんな貧しい生活がずーっと描かれてますが、後半に急展開します。

 

大量の米を積んだ商船が座礁。生き残りを殺して、村人は久々に米にありつきます。

 

沸き立つ村。 (争わず、きちんと分けるところが日本人らしいです)

 

浮かれて白米を炊く家が多い中、伊作の母は米を隠しながら薄いお粥で過ごします。

 

次の難破船はいつ来るか分らないですから、賢い母親です。

 

 

その次にやってきたのが赤い服を着た死人の船です。食べ物はありません。

 

ピーンと来たでしょ。 赤い服なんて見たことがない村人は喜びます。

 

村の女達は我先に川で着物を洗い、身につけます。

 

しばらくすると多くの人が高熱を出し、体中に発疹が。 そうです天然痘です。

 

あらら~ これは村が全滅?と思いましたが伊作と少しの人数はかかりませんでした。

 

でも母親と幼い弟・妹がかかってしまい、妹は死にます。弟は失明。母親はあばた顔に。

 

 

これでも悲劇なのに、驚いた事に村おさ(自分も感染)が一度感染した者は村に厄災を

 

もたらすかも知れないから、裏の山に行こう(つまり姥捨て山状態です)と号令します。

 

母も弟の手を引き山へ消えてゆくのです。

 

ここが一番の驚きでした。村を守る為に潔く自分の命を犠牲にする精神に驚きです。

 

後遺症が残った者も食べ物を浪費するだけ、と割り切らないと生きて行けない。

 

遺伝子を守る為とはいえ、ここまで淡々と泣きわめくことなく死出の旅に出られるものかと。

 

現代社会だと老人が若者の重荷になってるのに、この本能とも言える姿が衝撃的でした。

 

吉村先生の文章は、淡々と書いておられるので、却って印象にのこりました。

 

 

天然痘って本当に恐ろしいのですね。撲滅して良かった。

 

天然痘が描かれた「天に星 地に花」も素晴らしい小説でした 感想コチラ

 

今、はしかが流行ってますが、これだけ外国の人がやってくるともっと感染力のある

 

病気が流行るかも知れません。 人間だけでなく家畜も、農産物も。

 

今、食べ物を捨ててるけど、飢饉が来たらどうなるんだろ・・・

 

そんなことを考えながら読み終えました。 強烈でした。

 

 

ここまで読んで下さりありがとうございますご飯