核家族化による子育て不安。
それにより、正しく子どもに愛情をかけずに育ててしまうもしくはゆがんだ価値観を押し付けてしまう家庭も少なくないよう。

人間の凝り固まった価値観で考えない。
新たな命を育む過程が苦痛なわけがない。
子育ては親にとっても子供にとっても充足すべきこと。

以下引用
「子育てってね、本来は難しくないと思うんですよ」。そう話すのは、動物学者の今泉忠明(いまいずみただあき)さん。日本動物科学研究所の所長で、現在も動物の研究を続けています。

「自然界の視点で見れば、子供は放っておいても育ちます。野生では多くの動物が『産みっぱなし』。魚類、両生類、爬虫類の多くは卵を産んだら去り、子供が育つかどうかは運次第です。一方、子育てをするのは、鳥類と哺乳類。中でもとくに変わった子育てをしているのが、人間です」

今泉さんによると、人間とほかの動物の子育てには、ある違いが見られるといいます。

間の育ち方は教育や環境で変わるとする一方「人間はもっと『頑張らない子育て』をしてもいい」と語る今泉さん。とくに3歳ごろまでは、細かい育て方を気にする必要はないといいます。

「チンパンジーを例に出すと、子供のおしりの毛が白いうちは『まだ言い聞かせても理解しない』とされていて、親も群れの大人も叱ったりしつけたりしないんですよ。その代わり、母親はずっと子供を抱いて愛情をかけています。

その分、おしりの毛が黒くなったら『一人前』と認識され、群れのルールを厳しく教え込まれます。これが人間でいうと3歳くらいの時期です。人間は全く同じとは言えませんが、3歳ごろまではしつけを気にするより、とにかく愛情をかけるのが理にかなっていると思いますよ」

0~3歳までの子育ての中で授乳や離乳食は人によって方法が違うため「これでよいのか」と悩みやすく、少し大きくなれば「トイレトレーニング」などのしつけに悩まされます。しかし今泉さんは、あれこれやらねばと焦らず、3歳ごろまでは愛情たっぷりに育てるだけで十分だと強調します。


◆パンダ
0歳児ママを悩ませる「離乳食」。彩り、量、食べさせ方…、悩みを挙げればきりがありません。しかし今泉さんは「動物界でいえば、食べられるものの味を学ぶだけで十分」といいます。

「離乳食の本来の目的は、食事の自立です。たとえばパンダの場合、親が食べている笹をかじり、食べるまねをすることから始まります。これは食事の練習ではなく、ただの遊びです。それがやがて本当の食事につながるのです」

遊び食べはパンダの離乳食の基本。母親は「遊んでいないで食べなさい」などと叱りません。遊びから笹の味を学び、自分で食べられるようになれば満点だからです。

「生きるために食事を学ぶ」という原点に戻れば、離乳食はもっと気軽に「食べれば拍手、食べなかったらまた明日」という気持ちでいてもよいといえるでしょう。

◆新世界ざるの父親
家族という群れで生活をする人間にとって「パパ」は育児の戦力であってほしいものですが、パパの当事者意識のなさに悩まされることもあるでしょう。今泉さんは「男を巻き込むには最初が肝心」と話します。

「広鼻猿類(別名:新世界ザル)の一部の母親は、出産すると、すぐに父親に子供を託し、出産で使った体力を回復するため食べることに専念します。父親はその間ずっと、赤ちゃんを背負って過ごすのです」

なんともうらやましい、新世界ザルの母。今泉さんは、人間も見習える点があるといいます。

「ママの方が育児に慣れていると、つい『パパはきちんとお世話をしてくれないかも』と不安になり、赤ちゃんを任せにくくなるでしょう。しかし、命に関わる部分以外は、失敗して学ばせるのが一番。『はい、お願いね』と託してしまいましょう。すると男は自分なりにやってみるものです」

パパへの不安はさておき「あなたが責任をもってやってね」と託す勇気が、パパの当事者意識を生むのかもしれません。

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