長周新聞リンクより

 現代社会の「早い、安い、便利、大量生産」という価値観のもとで、添加物や農薬にまみれた加工品や生鮮食料品が溢れ、その弊害は真っ先に子どもたちの心身の不調としてあらわれ、原因不明のまま「発達障害」と診断される子どもが増え続けている。そうしたなかで、フォーラムでは自然の法則にそって作られた食に改善することで、子どもたちが驚くほど健康で元気になり、自分らしく生きられるようになっていく豊富な事例が紹介された。またそういった新しい食習慣がふるさとの環境を美しく保ち、自然と共生する人間の生き方にもつながることも共有された。
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 子どもの心と健康を守る会代表の国光美佳氏は、「子どもの健康を支える、ミネラル食を知る」と題して講演した。国光氏は、保育職を退職後に女子栄養大学で勉強し、食が身体だけではなく精神にも深く関わっていることを知って衝撃を受け、2010年には『食べなきゃ、危険!』という本を出版した。現代食に圧倒的に不足するミネラルを実測値を踏まえて明らかにし、ミネラルが人間の心身に必要不可欠な栄養素であり、昔ながらの煮干しやあご、昆布などの出汁を大事にしたミネラルたっぷりの食事に変えることで化学物質過敏症や発達障害など心身の不調を持った子どもたちが劇的に変化している事例を紹介した。
 ミネラルは、「タンパク質」「脂質」「糖質(炭水化物)」「ビタミン」「ミネラル」の5大栄養素の一つだ。カルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、塩素の7種類がある。微量ミネラルは、鉄、ヨウ素、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロムの9種類だ。およそ100種類以上あるミネラルは、骨などの組織の構成や神経の働きを調整するなどさまざまな役割があり、とくに酵素を活性化する司令塔の働きをする。代謝や消化といった生命活動に必要な酵素が、ミネラルを採ることで働く。心を安定させるセロトニンなどの神経伝達物質も、酵素の働きによってつくられるので、ミネラルは精神にも影響する栄養素だ。このようにミネラル不足は生命活動に直結するため、とくに成長期の子どもには、主要ミネラルも微量ミネラルもバランスよく摂れる食事が必須だ。

 現代食は「早く、安く便利に、大量生産」が特徴だが、コンビニ弁当やパン、サンドイッチなどを食品分析センターで計測するとそのほとんどがカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などが推奨値に届いていないことが明らかになっている。冷凍食品や惣菜なども同じだ。現代食にミネラルが不足する要因として、①水煮食品の増加、②食品添加物の「リン酸塩」を使った加工食品の増加、③精製食品、なかでも精製油脂の使用の増加があげられる。コンビニ、ファミリーレストラン、弁当屋などで使われる野菜などは多くが水煮食品で、何度も水洗いや消毒をするため野菜が本来持っているミネラルがとり除かれている。
 また食品添加物の「リン酸塩」は、冷凍食品、ハム・ソーセージ、ちくわ、はんぺんなどの練り製品等多くの加工食品に使われている。「pH調整剤」などの一括名で表示されることが多い。食品の型崩れを防いだり、食感を保ったり、変色を防ぐために多くの食品に用いられる。人体への影響はないといわれているが、リン酸塩は人間の胃腸のなかでミネラルと化合して排せつするため、ミネラル不足を起こす原因になっている。
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 また精製食品、精製油脂の使用により、白米、小麦粉、白砂糖などミネラルを除去した精製食品、またサラダ油、天ぷら油など加工食品に使われる油脂類も、脂以外の成分を完璧に抜きとり、ミネラルをゼロにしている。いまや加工食品は食卓に欠かせないものとなり、知らず知らずのうちに「食べても栄養失調」「ミネラル不足」に陥るようになっている。

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