朝は一日のスタートなので、朝食は非常に大事。なんてことを未だに信じている事こそ、思考停止しているのだ。

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健康のためには朝食をとったほうがいいとよくいわれる。それは本当だろうか。医学博士のジェイソン・ファン氏は「お腹がすいていなければ、朝食は不要だ。私たちの体は朝食を食べなくても、エネルギーチャージを勝手に行っている」という――。

■「朝ご飯を食べる=健康的」は完全な印象操作

 多くのアメリカ人が、「朝食は一日のなかで最も大切な食事」だと考えている。

 しっかり朝食を食べることが健康な食生活への第一歩だ、と。朝食を食べないとお腹がすき過ぎて、そのあとは一日食べ過ぎてしまうといわれる。私たちはそれが正しいと思いこんでいるが、実はこれはアメリカだけでいわれていることだ。

 フランスでは(スリムな人が多いことで有名だ)、朝はコーヒーだけを飲んで、朝食を食べない人も多い。

 フランス語で朝食を意味する言葉“ささやかなランチ”は、朝食は軽いほうがいいということを示唆している。

 1994年に〈ナショナル・ウェイト・コントロール・レジストリ(全米体重管理登録)〉が設立され、モニターとなった人たちは14キロの減量に成功し、その体重を1年間維持した。その参加者の大半(78%)は朝食を食べていた(※1)。

 よって、この結果は、「朝食を食べるのは減量に効果があることの証拠だ」といわれた。だが、減量できなかった人は朝食を食べていなかったのだろうか?  それがわからないと、結論として確定できない。減量できなかった人の78%も朝食を食べていたとしたら?  このデータは明らかにされていない。

 それに、この研究に参加した人たちは実験機関が選んだ人たちであって(※2)、世間一般を代表するような人たちではない。たとえば、参加者の77%は女性、82%は大卒、さらに95%が白人だった。

 2013年、朝食に関する研究のシステマティック・レビューを行ったところ、ほとんどの研究が、得られた結果を自分たちの意向に添ったかたちで解釈していたことがわかった。

 朝食を食べると肥満になりにくいと信じていた研究者は、調査結果を自分のバイアスに合うように解釈していたのだ。

■体にとって「朝食」は不要なもの

 結論から先にいうと、起きてすぐに食べる必要はまったくない。

 これから始まる一日に備えて「エネルギーを補充しなければ」と私たちは考える。だが、私たちの体は自然とそれを行っている。

 毎朝、目覚める少し前に、体の概日(がいじつ)リズムによって、成長ホルモン、コルチゾール、アドレナリンとノルアドレナリンといった興奮作用のあるホルモンが一斉に分泌されて体を刺激する。

 こうしたホルモンのカクテルが、肝臓に新しいグルコースを産生するよう促し、それにより私たちは目覚めるのに必要な刺激を受け取る。これは「暁(あかつき)現象」と呼ばれ、何十年も前からよく知られる体のエネルギーチャージ現象だ。

 朝、お腹がすいていない人は多い。体内で産生されるコルチゾールとアドレナリンが、軽い闘争・逃走反応を促すような刺激を与え、交感神経系が活性化されるからだ。つまり、朝、私たちの体は行動を起こす準備をしていても、食べる準備はしていないということだ。

 こうしたホルモンの刺激によってグルコースが血中に放出され、すぐにエネルギーが使える状態になっている。食べなくても、すでに燃料が補給され行動を起こせる状態になっているということだ。

 砂糖がかかったシリアルやベーグルなどで、さらに燃料を補給する必要はまったくない。朝、お腹がすくというのは、ほとんどの場合、子どもの頃から何十年とかけて獲得されてきた「習慣」にすぎない。

 “breakfast(朝食)”という言葉は、文字どおり”fast(食べない時間)“を”break(断つ)”するという意味だ。”fast”は、何も食べないで寝ている時間を指す。起きてから最初の食事を昼の12時に摂るとすると、グリルドサーモン・サラダが朝食ということになる――それで、何の問題もない。