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笑わない人の死亡率は2倍近く上がる!?
「笑うことは健康によさそうだ」ということは、多くの方がなんとなく理解しているのではないかと思います。ここからは、「笑い」の健康効果について、最新研究の数々をご紹介していきましょう。
まずは、笑いの頻度と死亡との関係です。
これまで、米国のプロ野球選手を対象として、選手の写真上の笑顔と寿命との関連が検討されています。1952年にプロ野球選手であった230人の顔写真を分析し、笑顔の程度を3段階に評価したうえで、その後の寿命との関連を検討しました。
2009年までの追跡調査で184人が死亡し、笑顔との関連を解析した結果、笑顔がまったく見られなかった選手の平均寿命が72.9歳であったのに対し、歯を見せて満面の笑みを浮かべていた選手の寿命は79.9歳で、その差が7歳もあったとのことです。
笑いと死亡との関連は、日本でも調査されています。山形県の40歳以上の地域住民男女1万7152人を5年以上経過観察した研究では、「週に1回以上、声を出して笑っている人」を基準にすると、「月に1回未満しか声を出して笑わない人」では、5年後に亡くなる確率が2倍近くにアップすることがわかりました。

笑わない人の死亡率

「月に1回未満しか笑わない」のは、ほとんど笑わないのと同じですよね。笑いがいかに寿命にかかわっているかがよくわかるデータです。
ひと口に笑いといっても、いろいろあります。ニヤニヤする笑い、苦笑い、失笑、声を出さない笑い、微笑み、お腹の底から大爆笑などなど。しかし実は、笑いには定義があるのです。
ポイントは声を出して笑うこと。とにかく笑い声を出す。笑いには、基本的に声を出すという動作が欠かせません。単なる笑顔ではないということです。
口角が上がり、目尻が下がっていれば笑顔はつくれます。その笑顔にプラスして発声を加え、息を断続的に出す行為。これが「笑い」です。
どうせ笑うなら、小さく笑うよりも大きく笑ったほうがいいですよね。
す。

医学的に見た笑いのすごい効果
笑うことは、医学的に見てどんな効果があるのでしょうか。効果は2つあります。
まず1つは、単純に笑うこと自体が運動になること。実は、笑うことは有酸素運動なのです。
有酸素運動は、酸素を使って筋肉を動かすエネルギーである脂肪を燃焼させる運動で、ウォーキングやジョギング、水泳やサイクリングなどがこれにあたります。
もちろん、笑うことはエネルギーを短時間に燃焼するほどの強度の運動ではありませんが、何より腹筋を使います。特に声を出して笑うことは、腹式呼吸につながります。
笑うという行為は腹筋だけでなく横隔膜も使うため、15分笑うと20~40キロカロリーものエネルギーが消費されます。声を出して笑うことは、ストレス発散になるだけでなく、有酸素運動にもなるのです。
私たちは落語会で笑っているときのエネルギー消費量を呼気モニタリングによって調べてみました。すると、よく笑っている時間帯は、公園を散歩する程度の運動量になっていました。
もちろん、笑いの有酸素運動効果は本当に運動しているときの消費エネルギー量には及びません。しかし、新型コロナウイルス感染を心配されて外に行きにくい方、膝や腰が痛くて運動ができない方もいらっしゃると思います。そのような場合、家で笑っているだけでも有酸素運動効果が見込めますので、ぜひ活用してはいかがでしょうか。

2つめが、脳内リセット効果があることです。
自分が笑っているときのことを思い出してみてください。笑っているときに、何かほかの考え事をしていますか?
大笑いしているとき、人は何も考えていない、頭が空っぽの状態になっているはずです。その時間が脳をリセットするのです。
実際に実験もされています。大笑いをしているときと、麻酔で眠らせるときを比較したところ、両方とも同じようにストレスホルモンが下がったという報告があります。
笑うということが、ストレスからいったん目をそらすという作用もありますし、単純にストレスを笑い飛ばすという作用もあるのです。

笑いは集中力を高める効果もあります。
カリスマ塾講師がよくおこなっている方法で、授業の前に必ず生徒をひと笑いさせるというものがあります。授業がはじまる前の生徒たちというのは、いろいろなことを考えていて、脳が1つの方向に定まっていない状態です。笑わせることで、生徒たちの脳をリセットさせて授業に集中させるのです。

仕事でも同じです。ずっと仕事のことばかり考えていると、脳はだんだん疲れてきてしまいます。一瞬でも笑うことによって脳をリセットさせると、仕事の効率もアップします。朝、ラジオ体操のあとに笑いを取り入れている会社もあります。
また、笑ったあとは副交感神経が優位になり、リラックスに傾くため、ストレス度が下がります。ストレスを感じるとコルチゾールというホルモンが分泌されますが、実際に笑ったあとは唾液中のコルチゾールが減少します。

さらに、笑うと免疫細胞の1つ、NK細胞が活性化することが明らかになっています。NK細胞はがん細胞のほか、ウイルスや細菌といった外敵を攻撃してくれる働きがあります。
コルチゾールの減少とNK細胞の活性には相関関係があるため、笑うことによって自然免疫力が上がるのです。新型コロナウイルスやインフルエンザの予防効果も期待できます。 笑うことでストレスが減り、ストレスが関係する病気が笑うことで予防できるのではないかといわれているのは、このような理由からです。