先日テレビで新里ねぎという曲がりねぎを紹介していました。
その地域では深く土を掘れないため、浅い土壌でもねぎをつくるため成長途中で押し倒し、土をかぶせます。そのストレスによってうまみを増すらしいです。
圧力で成長するのは人間も野菜も生物として同じなんだと感じました。

「うまい話まずい話 第6回:苦労して育った野菜は味がある(リンク)」
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前略

他の長ねぎのように育てたものを収穫1か月前にわざわざ全部抜きとり、土床に寝かせ、白い部分に土をかけてやるということでした。青い部分はその後1か月間で太陽を求めて起ちあがっていき、曲がりねぎになります。この地区は河川の堆積地で根の深いものを育てるのには向いていますが、地下水位が高いため、地中深く育った時に根腐れが発生しやすく、それを防ぐために、いったん抜きとるのだそうです。結果的にはこれが柔らかくて甘いねぎを作ることになりました。
 「野菜を育てるにはストレスをかけてやる方がいい」。たつの市の丸山さんに「おいしい野菜を作るコツは何ですか」と聞いたときの答でした。曲がりねぎはまさにこれに当たります。斜めに植えられたり、途中で引き抜かれて寝かせられたり、ねぎにとっては大変なストレスです。一生懸命起ちあがろうとし、細胞のエネルギーとなる糖質を作り出します。これが甘みとなります。ねぎのこの生命力は冷蔵庫の中でも発揮されます。寝かせておくと起ちあがろうとして曲がっていきます。
 大根や白菜が霜に当たると甘くなるのも同じことです。自分の体が凍って破壊されるのを防ぐためにエネルギー源となる糖質を作り出し、身を守ろうとします。糖が細胞のエネルギーとなるのは植物も動物も人間も同じです。植物は太陽の力を借りて自分で糖質を作り出します。動物や人間は植物からもらうしかないのですから、細胞の生理は植物から引き継いだのでしょう。

中略
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 ねぎや白菜・大根が甘くなるのは、自分の体の繊維質を糖質に作りかえているのだと思います。栗の実を収穫後に冷蔵庫の中で氷温にまで冷やす(つまり霜に当たるのと同じ)と甘みが増すことがわかっています。産地によっては、この過程を経た上で栗を出荷しています。すでに樹から切り離されているわけですから、栗の実の内部のもの(繊維質やデンプン)が糖質に変化するわけです。繊維質が減れば、植物は柔らかくなります。
 甘くなるのと柔らかくなるのは、植物にとっては一連の生理行為なわけです。