奈良雪田の書道作品集です。書道に興味関心を持っていただければ幸いです。
物質界を超越した世界。俗世間の外。「物」は、四角くがっしりとしている。一見縦長に見える「へん」は、2画目の横画が右に張り出して「つくり」と距離をとっている。太めの渇筆で書いた「つくり」と比べていただきたい。「外」は、斜めの画が印象的な横長の「へん」と縦長の「つくり」を比べていただきたい。また、「つくり」の縦画の左右の白にも目をやっていただきたい。前回は、9/27。
あかつき。よあけ。あけがた。太陽が昇る寸前の空が白んできたころ。「へん」は山などの障害物。「つくり」は太陽で、グッと押し上がっている感じ。TBSのドラマでは、太陽が昇っている場面が出てくると、展開が好転する。
今回は、モミジの紅葉をイメージして書いた。大胆に配した3・4画目の点の白、6画目の左払いの「うねり」、大きく変化する「れんが」の4つの点を見ていただきたい。逆光に赤く透けて際立つモミジが浮かんでくる。前回は、9/16。
四角。四角い。「嘉肴充圓方」(かこうえんぽうにみつ)より。この意味は、豪勢な料理が円や四角の器いっぱいに盛られている。今回は、力強い横画に対する力強い2本の縦画の「ゆれ」を見ていただきたい。横画は左が紙面からはみ出して勢いを表している。2本の縦画は終筆をしめて、逆三角形の構成ではあるがバランスをとっている。刺身の舟盛りが浮かんでくる。
まるい。まる。「嘉肴充圓方」(かこうえんぽうにみつ)より。この意味は、豪勢な料理が円や四角の器いっぱいに盛られている。今回は、縦画の変化を見ていただきたい。膨らみのある豪快な右側と比較的素直な線の左側の比較だ。また、「員」の疎密にも目をやっていただきたい。大皿に盛られた肉や野菜が目に浮かぶ。
みちる。みたす。みつ。「嘉肴充圓方」(かこうえんぽうにみつ)より。この意味は、豪勢な料理が円や四角の器いっぱいに盛られている。今回は、墨をたっぷり含ませて書いた。3画目・4画目の重量感を見ていただきたい。5画目の左払いを短く書くことで6画目の縦長を際立たせた。
さかな。火をとおした鳥・魚などの肉。ごちそう。また、酒のさかな「嘉肴充圓方」(かこうえんぽうにみつ)より。この意味は、豪勢な料理が円や四角の器いっぱいに盛られている。今回は、尾頭付きの魚の煮付けのよう。豪快に書いた横画や左払いの変化を見ていただきたい。
よい。めでたい。りっぱな。さいわいする。「嘉肴充圓方」(かこうえんぽうにみつ)より。この意味は、豪勢な料理が円や四角の器いっぱいに盛られている。今回は、上部をしめて下部を豪快に書き、華やかさを演出した。「士」と「力」を比べていただきたい。また、「加」の黒い「力」と白い「口」にも目をやっていただきたい。前回は、8/3。
相対する二つのもの、一対のものを表現する語。物事の始めと終わりを表す。「阿」は、最終画の重量感と勢いを見ていただきたい。これは、「へん」の縦画の効果が大きい。また、「へん」の上部の黒と「つくり」の1画目と2画目の間の白も見ていただきたい。「吽」は、まず「阿」の「へん」と比べていただきたい。次に、「つくり」の縦画に対する「阿」の「へん」の縦画と「つくり」の払いを比べていただきたい。前回は、8/17。
まことにのんびりとこの環境を楽しんでいる。(李白)今回は、文字が躍っている。「心」は、3つの点の変化に注目していただきたい。また、2画目との距離にも目をやっていただきたい。「自」は、横画の変化に注目していただきたい。「閑」は、「もんがまえ」の右下がりの画と「木」の縦画に注目していただきたい。また、「もんがまえ」の2本の縦画も比べていただきたい。前回は、2023/12/24。
雲を突き抜けたその先には、青空が広がっている。努力して苦しみを乗り越えれば、すばらしい世界が待っている。「雲」は、「雨」の4つの点と、「云」の横画など、疎密を見ていただきたい。周り一面の雲だ。「外」は、上部をしめて下部をゆったりと、特に「へん」でどっしり感を出した。立ち込める雲の中をひたすら突き進む。「蒼」は、上部を黒に対する下部の白を見ていただきたい。特に、「日」の部分と「口」を比べていただきたい。青空に抜けた感動が伝わってくる「口」だ。「天」は、上部をしめた力強い左右の払いに、自信が満ち溢れている。どこまでも続く青空だ。ドジャーズ、ワールドシリーズ制覇おめでとう。まさに「雲外蒼天」、ドジャーズブルーにそまった。前回は、8/26。
束縛を受けず心のおもむくままに伸び伸びと楽しむこと。今回は、荒々しい筆使いで、勢いを出した。「自」は、縦画・横画の「そり」や間隔の変化を見ていただきたい。また、線の太い細いにも目をやっていただきたい。「適」は、3本の縦画の変化や2本目の横画の「そり」、「しんにょう」の横画を見ていただきたい。また、疎密にも目をやっていただきたい。前回は、9/24。
「獅」は、「へん」を見ていただきたい。大きく曲がった2画目は、獅子が大きく口を開けているよう。「子」は、インパクトのある1画目・3画目の起筆や確固とした2画目の縦画と「はね」、伸びやかな3画目の横画を見ていただきたい。「吼」は、「獅」の横長に対して縦長に書いた。「へん」の「口」は、「獅」の口部と、「子」は2字目の「子」と比べていただきたい。前回は、2023/3/31。
福は海のように深い。「寿山福海」(じゅざんふくかい)より。今回は、穏やかな雰囲気を出した。「福」は、「へん」の1画目と2画目の間の白、「つくり」の上下の疎密と下部の曲線を見ていただきたい。「海」は、右下がりの横画による「へん」の疎密、「つくり」の水平な横画や扁平な曲線を見ていただきたい。前回は、8/11
寿は山のように高い。「寿山福海」(じゅざんふくかい)より。「寿」は縦長で高さを出した。踊るような4本の横画(点)を見ていただきたい。4本目の右上がりの横画に対して,続く回転は右下がりにしてバランスをとった。「山」は横長で広がりを出した。3本の縦画の変化を見ていただきたい。「寿」は左に、「山」は右に重心を置いてバランスをとった。また、1画目の横画の「そり」を「寿」と比べていただきたい。前回は、8/13。
悟りにいたる10の段階の第10段階。町へ降りて人に接し、衆生に救いの手を差し出す。(十牛図⑩)「入」は、いたって穏やかで柔らかい。伸びやかな線のゆったり感を見ていただきたい。「鄽」は、いたって堅牢で入り組んでいる。直線的な線の切れを見ていただきたい。「垂」は、いたって動的で横画や縦画が波打っている。画の方向や「そり」を見ていただきたい。「手」は、いたって力強い。「垂」の右上がりの横画に対して、右下がりの横画でバランスをとった。最後の縦画と「はね」を力強く書いて作品をまとめた。
悟りにいたる10の段階の第9段階。原初の自然の美しさがあらわれてくること。悟りとはこのような自然の中にあることを表す。全てを乗り越えた人は一皮むけた存在となり、あるがままに受け入れる一回り大きな存在となる。(十牛図➈)「返」は、横長・三角形の構成で安定感がある。長く伸びた「しんにょう」の横画が印象的だ。「本」は、縦長で、周りに白を多くとった。3画目の左払いが、長峰特有の開いた線で印象的だ。「還」は、「しんにょう」の縦画が縦長を強調している。となりの「返」の「しんにょう」と比べていただきたい。「源」は、横長の「へん」と縦長の「つくり」で全体として横長になっている。「つくり」はとなりの「本」と比べていただきたい。縦画の太さや「はね」、左右の点(払い)と縦画との交わり具合など。今回は、周りに白を多くとり、小さく書いて大きく見せることを心掛けた。
立ち木。うち立てる。葉が散って幹や枝が見えてきた木々。急に秋の装いを見せ始めた感はあるが、冬を迎える準備に取りかかったのか。木蓮の枝を見ると蕾をつけていた。今回は、どっしりとした真ん中に対して左右を比べていただきたい。横画からの縦画、「木」の左右の払いに対する「寸」の点。
容貌などが清くひいでていること。「清」は、スーツをビシッと決めたサラリーマンって感じ。上部の黒に対する下部の白、特に「月」の2画目の縦画と「はね」見ていただきたい。「秀」は、プレゼンや接客でテキパキと対応するよう。特に、4画目の左払いや「乃」の1・2画目の縦画を比べていただきたい。前回は、8/22。
人間の認識・理解を越えていること。人知の遠く及ばないこと。「摩訶不思議」より。「不」は、筆圧をかけた1・2・3画目に対して、4画目は添えるように書いた。筆をたてて書いたので、2画目から3画目にかけて内部の白がつぶれていない。「思」は、「田」の黒白や、「心」の豪快さを見ていただきたい。「議」は、広くあいた左側にどっしりと鎮座するように書いた。変化を大胆につけた「へん」や、しめて書いた「我」を見ていただきたい。今回は、「摩訶」からの連続性を出すため、右側は狭く、左側は広く開けた。「画像一覧」でも見ていただきたい。