海外渡航者は麻疹(はしか)に注意しましょう | 奈良西部病院のブログ

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トラベルワクチンや小児用ワクチン、当院についての情報をお知らせしています。

私共が所属する日本渡航医学会から海外渡航者に対して麻疹(はしか)に関する注意勧告がでています。事実、昨年末よりフィリピンからの輸入が原因と思われる麻疹の流行が続いております。

詳しくは以下の文章をお読みください。



【海外感染症注意情報】


海外渡航者は麻疹に注意しましょう


201452

日本渡航医学会

理事長 濱田篤郎



麻疹(はしか)は、ウイルス性の急性全身感染症です。麻疹ウイルスは感染力が非常に強く、感染すると肺炎や脳炎などの重篤な合併症を引き起こします。近年、定期予防接種に麻しんワクチンの2回接種を導入することにより、麻疹感染者は劇的に減少してきました。しかし、すべての国民が麻疹に免疫を持っているわけではないため、海外の流行地で感染した渡航者により日本で麻疹の流行を引き起す事例がしばしば報告されています。

途上国、先進国含めて、今でも麻疹が流行している国々は数多くあり、近隣ではフィリピンやベトナムで現在多くの患者が発生していることが報告されています。渡航中に麻疹に感染した場合、渡航者自身の健康問題になるだけではなく、帰国後に麻疹を国内で蔓延させる原因にもなることに留意しなければなりません。

海外渡航、特に麻疹が流行する可能性がある地域に滞在する際には、ご自身の麻疹に対する免疫力を確認するとともに、必要に応じて麻疹の予防接種を受けるようにしてください。

1.渡航前に自分が麻疹に対する免疫があるかを確認しておきましょう。免疫の有無を確認するには次の3つの方法があります。 1)過去に麻疹にかかっていますか? 過去に麻疹にかかっていることが確実であれば、免疫があると考えていいでしょう。2)過去に麻しんワクチンを2回接種されていますか? 自分の母子手帳に麻しんワクチンを接種した旨の記載があるかどうか確認してください。2回接種歴があれば、麻疹に免疫があると考えてください。日本では、小児への麻しんワクチンの定期接種が1978年より開始され、2006年より1歳児と小学校入学前1年間の児(幼稚園の年長組に相当する年齢)に対する2回接種となりました。なお、2008年から5年間の時限措置として、中学1年生と高校3年生に相当する年齢の方に2回目の接種が行われました。この時限措置の対象とならなかった方(1990年以前に生まれた方)は、1回接種しか接種を受けていない可能性が高くなります。

3)抗体検査は陽性ですか? 過去の感染の既往や接種歴が不明な場合は、血液検査で免疫の有無を抗体検査

で確認できます。抗体検査は、小児科・内科の診療所やトラベルクリニックで受けることができます。ただし、健康保険適用外の検査となります。

2.麻しんワクチンを1 回しか接種していない方、免疫のない方、免疫を確認できなかった方は、渡航前に麻しんワクチンを含んだワクチンの接種をお勧めします。一般的には1990 年代以前に生まれた方が、この世代になります。 接種するワクチンは、麻しん単独ワクチンか風しんワクチンを含んだ麻しん風しん(MR)ワクチンとなります。風疹もアジアの国々などで流行していますので、MR ワクチンを接種することをお勧めします。ワクチン接種は内科や小児科の診療所やトラベルクリニックで受けることができます。ワクチンは、過去の接種も含めて2 回接種を受けるようにしてください。接種後は、必ず接種記録を持つようにしましょう。なお接種するワクチンは生ワクチンであり一回接種すると次にワクチン接種が出来るのは4 週間後(27 日以上間隔をあける)になります

麻しんワクチンは接種を受けてから1週間前後で、発熱や発疹などの副反応のみられることがあります。このため、接種は渡航の1週間以上前に受けるようにしてください。関連ホームページ


国立感染症研究所のサイト http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html


厚生労働省検疫所FORTH  http://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html