『相対性理論』 第10回(最終回) 一般相対性理論で起こる現象② | 奈良の鹿たち

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『相対性理論』

第10回(最終回)

  <一般相対性理論で起こる現象②>

 

5.ブラックホール

(「ブラックホール」については『宇宙』カテゴリー 参照)

アインシュタインは宇宙では限られた空間に大きな質量が集中すると、光さえ脱出できない重力場が形成されると論理付けをした。カール・シュヴァルツシルトは、一般相対性理論の重力の方程式からブラックホールの存在を理論的に予言しました。

 

<ブラックホール直接撮影>

2019年人類初の撮影に成功。

おとめ座銀河団の楕円銀河M87の中心に位置する巨大ブラックホール。

このブラックホールは、地球から5500万光年の距離にあり、その質量は太陽の65億倍にも及びます。

アインシュタインの理論の正しさが確認されました。

 

6.重力赤方偏移

「強い重力場の中では時間の進み方が遅れる」という一般相対性理論的効果があります。このため、強い重力場中の波源の振動は、外からみるとゆっくり振動してみえるので、波長が延びていきます。

これが重力赤方偏移です。

遠ざかる光源から発せられた光には赤方偏移がおこります。星の表面から重力に逆らって光を放つと、波長は長くなり振動数は元よりも低くなり、エネルギーを徐々に失っていきます。

 

<巨大ブラックホールでの赤方偏移>

銀河系中心のブラックホールの周りを回る恒星S2がブラックホールに最も近づいた際に、重力赤方偏移と考えられる光の波長の変化を観測しました。

 

7.時間の遅れ(時間が曲がる)

一般相対性理論においては、重力は空間(時空)を歪ませ、時間の進みを遅くさせる。このため重力場の存在する惑星上では、重力の無い宇宙空間に比べて時間がゆっくり進むことになります。

 

<GPS衛星の時間の誤差修正>

GPS衛星は高度約2万kmの上空を、秒速約4kmという高速で移動しています。高度が高く地上よりも重力が小さい場所を、超高速で動いてます。

相対性理論の特徴として、高速で動いているものでは、時間の進み方が遅いのです。この効果によってGPS衛星では、時間がゆっくり進むことになります。しかし、上空では、地球の重力が地表より小さくなります。一般相対性理論によれば、重力が強いほど時間の進みが遅くなるので、重力の強い地表の方が時間の進みが遅いことになります。このふたつの効果を合わせると、地表を基準にして、GPS衛星では1日当たり約1万分の3秒速く進むことになります。

 

<エピローグ>

アインシュタインは「相対性理論」で現代物理学の新世紀を切り開きました。

今日の最先端の宇宙論・量子論・粒子論は、すべて「相対性理論」で成り立っています。

もしもアインシュタインがいなかったら、物理学はどれほど遅れていたことでしょう。

 

 

 

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『相対性理論』全10回 完

 

 

 

(担当P)

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