『素粒子』
第2回
「物質素粒子」
<物質素粒子の仲間>
1.「クォーク Quark」
原子の陽子や中性子をつくっている物質素粒子で、3つのクォークでそれぞれが出来ています。
陽子はアップクォーク2個とダウンクォーク1個からできています。
中性子はアップクォーク1個とダウンクォーク2個からできています。
現在ではクォークは、u(アップ)、d(ダウン)、s(ストレンジ)のほかに、
これらより質量の重い、c(チャーム)、b(ボトム)、t(トップ)が加えられ、全部で6種類のクォークが知られています。
第1世代 : アップ(u)、ダウン(d)
第2世代 : チャーム(c)、ストレンジ(s)
第3世代 : トップ(t)、ボトム(b)
ビッグバンの直後(10-12秒後~10-6秒後)、クォーク時代とよばれる時に瞬時に誕生しました。
クォークは単独では原子から外に出てこれない。これを「クォークの閉じ込め」といいます。
2.「レプトン Lepton」
強い相互作用をしない素粒子で、クォークとともに物質を構成する電子の仲間の物質素粒子。軽粒子ともいわれます。
電子(e)、ミュー粒子(μ)、タウ粒子(τ)とそれらに付随したニュートリノ(νe・νμ・ντ)の6種類からなる。
これらは以下のように3世代に分かれます。
第1世代 : 電子(e)、電子ニュートリノ(νe)
第2世代 : ミュー粒子(μ)、ミューニュートリノ(νμ)
第3世代 : タウ粒子(τ)、タウニュートリノ(ντ)
・ニュートリノ Neutrinoとは
ニュートリノは電気を帯びておらず、中性で電子よりも軽い素粒子で、そのため電気的な引力・反発力を受けないで、あらゆる物質をすり抜けます。
そのため、直接観察することは出来ないが、ごくまれに、電子やクォークと衝突するので、それを探知機で確認することができます。
岐阜県神岡町の「スーパーカミオカンデ」で感知するのに成功し、ニュートリノに重さがあることを発見した。これによってノーベル賞受賞となりました。
ニュートリノには3種類(電子ニュートリニ・ミューニュートリノ・タウニュートリノ)あることが分かっています。
また、ニュートリノの動きが、放射性物質が起こすベータ崩壊の起因となっています。
(「ベータ崩壊」については、第4回「力伝達粒子②」で説明します)
スーパーカミオカンデ
・反粒子 Antiparticleとは
反粒子とは、元の普通の粒子と質量は完全に同じペアだが、帯びている電気の正負が反対である粒子のこと。
反クォークからは、反陽子や反中性子がつくられます。
原理的には、反陽子や反中性子からは反原子がつくられ、さらには反物質がつくられます。
ペアの粒子と反粒子が出会うと、膨大なエネルギーを放出して両者は跡形もなく消滅します(対消滅)。 逆に原子核に強いエネルギーを当てると、対の粒子と反粒子ができます(対生成)。
宇宙誕生時は、同数の普通の粒子と反粒子が存在したけれど、何らかの原因で普通の粒子の数が多くなり(10億個のうちの2個)、普通の粒子だけが残って普通の物質だけが存在するようになりました。
普通の粒子と反粒子 対消滅と対生成
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次回は 第3回「力伝達素粒子」
(担当 P)
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