kanasiiyokan

http://www.umegei.com/s2007/yokan.html


吉本ばななの原作を読んで舞台化されることを知り

ど~うしても見たくなって、

当日券で下北沢本多劇場「哀しい予感」の舞台を見てきた。


主役は、市川実日子(弥生役)と加瀬亮(哲生役)。

この二人は本を読んだイメージに近かった。

でも、物語の鍵を握る伯母役の役者と母親役の役者が

私の思い描くイメージと違かった。。

その伯母というのは、

顔だちは美しいが、化粧もしない地味な音楽教師で

家の中ではとてもだらしのない生活をしている人。

なのに、伯母役の役者が今風の洗練された髪型を

しているのがイメージと違い残念だった。


れから、主役の弥生とこの伯母は実は姉妹なのだが

二人が似ていない。

(お芝居だから)顔は似ていなくても仕方ないが、

なんかこう・・二人に共通する姉妹だと思わせる近い

部分が見つからなかった。

だから原作を読んでいない人には台詞だけではお芝居の

筋がなんとなくしかわからなかったのではないかな、と思った。

台詞はほぼ原作通りで、

読んでいた私はいろいろ想像して楽しめたけど。


弥生には幼い頃の記憶がなかった。

でも、昔の記憶が少しずつ戻り始めるのと同時に

伯母が実の姉であり、今いっしょに暮らしていて

淡い恋心を抱いている弟の哲生が他人だと気づき

哀しい予感 を覚える。

この場面で、舞台はピアノの旋律が鳴り響き

(舞台)全体が青緑色になり暗転するのだが、

このとき私は悲しい(哀しい?)気持ちになった。

なんでだろ?

お芝居にすっかり引き込まれて

弥生の気持ちになっていたのかもしれない。


でもこの話は弥生が予感したように哀しい結末ではない。

不安な想いを抱えながらも真実を受け入れることは、

哀しみではなく本当の愛を得る、という前向きな話だと

私は思う。


舞台は生ものだから、その日の役者やその人自身に

よって受け入られ方が違うと思うが、

私はこのお芝居、3時間弱という長時間だったが

飽きることなく素直に楽しめた。