製作年度:2017年

上映時間:107分

監督:ミヒャエル・ハネケ

脚本:ミヒャエル・ハネケ

出演:イザベル・ユペール、ジャン=ルイ・トランティニャン、マチュー・カソビッツ、ファンティーヌ・アルドゥアン

 
 
あらすじ:建設会社を経営し、豪華な邸宅に3世代で暮らすロラン一家。家長のジョルジュは高齢のためすでに引退し、娘のアンヌが家業を継いでいた。アンヌの弟で医者のトマには、別れた前妻との子で13歳になる娘エヴがおり、両親の離婚のために離れて暮らしていたエヴは、ある事件をきっかけにトマと一緒に暮らすためカレーの屋敷に呼び寄せられる。それぞれが秘密を抱え、互いに無関心な家族の中で、85歳のジョルジュは13歳のエヴにある秘密を打ち明けるが……。

 

 

 

思春期の少女や少年の悪意は大人の悪意と違い、ダイヤモンドのように輝いて魅える。思春期の少女の悪意を描いた代表格といえばピーター・ジャクソン監督作品の『乙女の祈り』である。

 

 

『ハッピー・エンド』の少女は母親に毎日少しずつ薬を盛り、薬物中毒にさせて殺してしまう。母親がいなくなり、父親の元に引き取られるわけだが、その一家は機能不全に陥っている。一家の当主は死に捕らわれ、自殺未遂を繰り返している。直接的な描写は無いが、当主の老人と少女は精神的に共鳴し合っているように私は感じる。この少女を演じるのは、ファンティーヌ・アルドゥアン。
 
 
ハネケ監督がオーディションで発掘したのだろうか・・・。今作品で難役をこなした彼女は、将来末恐ろしい女優に化けるであろう。
 

 

上記のメイキングでハネケ監督が演技指導しているのだが、このカラオケシーンで使われた音楽がシーアのシャンデリア。ハネケ監督作品で『シャンデリア』のような熱量のある音楽を使用するのは稀有なので大変インパクトがある。
 

 

ハネケ監督は、現在75歳。次回作はどんなテーマを挑むのであろうか。ハネケ監督には私たち観客を挑発し、心を鷲掴みにし、揺さぶる作品を作り続けてほしい。