⑰  職場復帰

 

 退院から4日目。職場復帰を果たす。ただ重いもの持てない。痛くて屈む姿勢が取れない。なので、落としたもの拾えない。役立たずのポンコツ…。

 

 それでも職場の皆さんは結構心配してくれていたようで、声をかけてくれる。何故、こんなに休むの?遊びに行くの?とか噂されていたらしい。でも数人には真実を話していたのがどうやら拡散していたようで、私が入院中も『大丈夫かなぁ?』とかいう会話があったとか。…申し訳ないけれど、私は入院中一度も会社のことを考えなかった。もちろん思い出す余裕もなかったけれど。正直、1週間休めるからドナーになった部分もあるので…。皆さんは口々に素晴らしい!と言ってくれますが、有給取りたかっただけですよー。と照れ隠ししておいた。

 

 さて、退院から5日目。コーディネーターのMさんから電話があり、痛みのことを確認され、男性のドナーはガマンする傾向にあるとのことだが、私はありのままに伝えた。頭痛は退院当日に治まり、排尿痛もその翌日には治まったが採取部位の痛みは依然残ると。

左右差があり、右に比べ左が圧倒的に痛いこと。屈むと痛いこと。

 

 処方された痛み止めを温存したい気もあり、あまり飲んでいなかったのだが、飲み続けてほしいということを言われたので、そうしてみることに。それでも痛みが引かなければ受診できるよう調整しますと。その後も2.3回電話をいただく。退院から12日目、初めて傷あてパッドを付けずに勤務した日、Mさんから電話で様子を訊かれた。薬を飲み続けてみても結局、あまり痛みが変わらないことを伝えた。Mさんが病院の先生と連絡を取って、回復に時間がかかっているため、術後検診を早めましょうという話になったようだ。私の都合も聞いてもらった上で、術後検診を4日前倒しして行うことになった。大きな病院でも予定を急に変更してくれる。ドナーファストパスは術後も有効のようだ。ここまで再検査もなしでスムーズに進行していたのに、採取後にこんなことになり、なんだか申し訳ない。

 

※次回、⑱“採取後健康診断”へ続く