五代目誕生
私は旅館を建てることに反対だった
― メイン通りの小さな宿 四代の物語
プロローグ 五代目が生まれる夏
私は、旅館を建てることに反対していました。
一度建ててしまえば、もう土地を自由に使うことはできません。
固定資産税もかかるし、建物の維持も大変です。
若かった私は、
そんな重いものを背負う覚悟がありませんでした。
しかし祖父の強い願いがありました。
「旅館を建ててほしい」
祖父はどうしても、
この家にもう一つ宿を残したかったのです。
その願いを聞き、両親は決断しました。
そして昭和55年、
メイン通りに旅館が建ちました。
それから長い時間が流れました。
祖父が駅前で戦後すぐ始めた宿。
父の旅館。そして私が。
気がつけば、
四代の流れになっています。
そして今年の夏。
我が家に孫が生まれます。
丙午の夏です。
旅館にとっては
五代目の誕生になります。
メイン通りの小さな宿が
どのように続いてきたのか。
少しずつ書き残してみようと思います。